2月10日の「『不利な条件、言い訳に過ぎない』 能登の自衛隊派遣、大胆な検証を」と題された朝日新聞デジタルの記事に目を疑った。日本政治外交史が専門で自衛隊の災害派遣の歴史を研究しているという村上友章・流通科学大准教授が、自らは自衛隊のオペレーションの専門家ではないと断りつつも、朝日記者から能登半島地震の初動で具体的にどうすればよかったかと聞かれ、「人命救助や情報収集に精鋭の落下傘部隊などを投入する判断はあり得たのではないか」と答えた。
専門家でなくても基礎的な知識は欲しい。能登半島地震の初動で空挺(くうてい)降下を行えば、家屋や木などに激突したり、電線に接触して感電したりするなどの二次災害を起こしかねないのだ。大規模な空挺降下を想定するなら、最低でも500メートル×1千メートルの、家屋や木などがない平地が必要だ。有事では降下地域(Drop Zone)の電線や建造物などを空爆した後の降下となるが、災害派遣ではもちろんそんなことはできない。能登半島ではインフラが回復するまでは徒歩搬送とヘリが主力だった。ヘリは目視飛行で操縦するため、天候の影響が大きい。肉眼で物体がはっきり確認できる最大距離が十分でなければ着陸やホバリングはできない。被災地に徒歩搬送で入った自衛隊員が、ヘリ降下可能地点を目視確認で検証することでヘリ搬送が可能となった。ヘリや空挺降下には事前準備と条件があると知っていただきたい。
東日本大震災から13年経過したが、災害時には今も自衛隊に頼り切っている。災害派遣には「緊急性、公共性、非代替性」の3要件があるが、形骸化する傾向にあり、高速道路の雪かきなど要件に合致しているとは言い難い事例にも派遣要請がある。 しかし、台湾有事が懸念される今、このままでよいのだろうか。防衛出動時の自衛隊は国防の任に専念する。戦災時の人命救助、避難誘導、被災者保護、救難物資の搬送など「自衛隊ナシ」で対処する準備はほとんど進んでいない。軍事侵攻やミサイル攻撃は突然に起きる。その時に慌てても遅すぎる。 有事の国民保護では自治体も重要な役割を担うが、自然災害ですら自衛隊ナシで対処ができないのでは思いやられる。戦災も視野にいれた自治体中心の災害救助・支援態勢、危機管理に関する常設組織「米連邦緊急事態管理庁」の日本版を早急に構築する必要性こそ、メディアが広く訴えるべきではないか。
日本 最新ニュース, 日本 見出し
Similar News:他のニュース ソースから収集した、これに似たニュース記事を読むこともできます。
ソース: Sankei_news - 🏆 68. / 53 続きを読む »
ソース: Sankei_news - 🏆 68. / 53 続きを読む »
ソース: Sankei_news - 🏆 68. / 53 続きを読む »
ソース: Sankei_news - 🏆 68. / 53 続きを読む »
ソース: Sankei_news - 🏆 68. / 53 続きを読む »
ソース: Sankei_news - 🏆 68. / 53 続きを読む »