日々の生活に直結するのは、やはり経済。去る2月23日・天皇誕生日の各紙は「東証・史上最高値」のニュースを伝えた。日経平均株価の終値が4万円に垂(なんな)んとするのは、なんと「34年ぶり」で、平成元年の「バブル期」を超えた最高値の更新である。
こうした動きは以前から鮮明になっていた。前日22日の衆議院予算委員会で、日銀の植田和男総裁は、「昨年までと同じような右上がりの動きが続く」と物価動向の予想を示したうえで、日本経済が「デフレではなくインフレの状態にある」と述べている。もちろん楽観できないことは、国民一人一人がよく知っている。高揚感はほとんどない。各方面から今後「経済の好循環につながる」ことに期待する旨の言及が多いのは、要するに、いまなお「好循環」の達成ができていない証ではある。それを伝えるのも、メディアは忘れてはいない。 こうした記事をみるにつけ、場当たり的で偏向をまぬかれない報道だと感じるのは、はたして筆者だけであろうか。時々の一報と論評はあっても、時系列的な推移に対する系統的な考察に乏しいし、ネガティブな側面の強調も、かねて顕著に思える。
たとえば植田総裁は昨年11月8日には、衆議院財務金融委員会で「物価と賃金の好循環が少しずつ起きている」と述べていたはずだ。こうした発言と今回の「インフレ」発言、および「史上最高値」はどう関連づければよいのか。 あわせて必ず目にするのは、株価で並んだ「バブル期」との比較である。企業資産価値など、今昔両者の内容の違いにも論及する一方で、いわゆる「失われた三十年」という株価の推移から、「最高値」の内実にも否定的な指摘も多い。この種のやや偏った報道が輿論(よろん)を動かし世上の経済マインドに影響を与えていない、とは言い切れない。かつての「バブル期」の狂瀾も、そうだったのではないか。おかもと・たかし 昭和40年、京都市生まれ。京都大大学院文学研究科博士課程満期退学。博士(文学)。専攻は東洋史・近代アジア史。著書に「『中国』の形成」など。
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