5月7日、高利回り債(ジャンク債)の市況が大きく好転したため中国の借り手がより強気になり、期限前償還コストの引き下げに成功したケースも見られる。2013年撮影(2019年 ロイター/Jason Lee)
[香港 6日 ロイター] - 高利回り債(ジャンク債)の市況が大きく好転したため中国の借り手がより強気になり、期限前償還コストの引き下げに成功したケースも見られる。ただ期限前償還を巡る従来の慣行が変わったことで、一部の投資家や銀行関係者からは心配する声も出ている。リフィニティブのデータによると、アジア勢の年初来の起債総額は401億ドルと、昨年全体の起債額456億ドルに迫る水準だ。背景には米連邦準備理事会(FRB)がハト派姿勢になったことや、株価上昇で投資家のリスク許容度が高まったことがある。中国勢の年初来起債額も106億ドルに達した。従来の慣行では、発行体が期限前償還をする場合、元本プラスその時点の表面利率の半分を投資家に支払うことになっていた。例えば表面利率6%の債券を早期償還するなら、発行体は元本の103%相当を支払わなければならない。
ところが足元では発行体の支払額がさらに少なくなってきている。不動産開発の合景泰富地産が2月に発行した期間4.5年の社債の表面利率は7.875%だが、2.5年経過後に償還する際の支払額はこれまでなら元本の104%前後になるはずが、102%に決まったのだ。同社に支払額の設定理由を聞くと、市場実勢に基づいたと回答。「何か特殊だとみなすべきではないし、われわれはこの件に関してそれ以上コメントしない」と述べた。債券の買い需要が強い局面で借り手がより有利な条件を獲得しようとするのは当然だが、銀行関係者は期限前償還コストの引き下げというのは新しい展開だと話す。ある銀行の債券資本市場担当幹部は「発行体がどんどん厚かましくなっている」と打ち明けた。
ブラックロックのグローバル資本市場アジア太平洋責任者マイケル・デニス氏は「(期限前償還プレミアムの)大幅な縮小が見られる」と語り、1─3月には同社として高利回り債の購入においてより選別的になったと付け加えた。
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