- ドイツでは今年に入って、政治家を標的にした暴行事件が急増している。専門家はポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭や、ソーシャルメディアの普及による社会の分断が背景にあると指摘する。ドイツ東部ドレスデンでは3日、与党・社会民主党(SPD)所属のマティアス・エッケ欧州議会議員がポスターを貼っていたところ、黒ずくめの集団に殴られて重症を負い、手術を受けた。ノルトホルンでは男が議員に卵を投げつけて顔を殴り、ベルリンでは上院議員がカバンで殴られた。
投票を控えて緊張が高まるのはいつものことだが、政党関係者やアナリストの間からは、何か変化が起きているとの声が出ている。連邦刑事庁の発表によると、身体的傷害を伴う襲撃事件が急増しており、2023年通年の27件に対して今年は既に22件に上る。デュッセルドルフ大学の政治学者シュテファン・マルシャル氏は「感情的な二極化が起きており、反対勢力は『敵』に位置付けられている」と述べた。「自分はここでは必要とされていない。姿を消すべきだと感じるようになる」と、東部テューリンゲン州の地方選に中道左派のSPDから立候補しているミヒャエル・ミューラー氏は話した。2月に過激思想に反対するデモを組織した後、自宅に火をつけられ「以前は考えもしなかったが、撤退も選択肢の一つになった」という。政党別で最も被害件数が多い連立与党、緑の党は、党員による昨年の被害報告が1219件と19年から7倍に急増。次に多いのは極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の478件、3番目がSPDの420件。緑の党の欧州議会議員であるニクラス・ニーナス氏は「公の場で『彼らを追い詰めよう』と放言する政治家がいると、言葉が行動を形成してしまう
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