アングル:プラごみ再利用に挑む女性起業家、インドネシアの理想と現実

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[ジャカルタ 17日 トムソン・ロイター財団] - インドネシアの女性起業家オビー・サブリナさん(37)は毎日、プラスチックごみと格闘している。彼女が行っているのは、麺のパックやコーヒーの小袋、ストローなどを材料の一部に取り入れた環境にやさしいレンガを製造し、国内各地に供給する作業だ。日ごろからリサイクルや環境問題への意識が高かったサブリナさんは5年前、インドネシアを悩ませている環境汚染や、大量の温室効果ガスを排出する首都ジャカルタの建設ブームへの対策として、使い捨てプラスチックを使ったレンガを作り出す、というアイデアを思いついた。そこで、従来型のレンガを製造する実家の工場にあった機械を利用する形で、2018年に友人のノビタ・タンさんとともにグリーン建材のスタートアップ企業、レブリックスを立ち上げた。アジアでは、より豊かになった人々が快適な生活を求めるとともに都市部の人口が急増し、インフラ整備や公共サービス、手頃な価格の住宅建設といった分野で、膨大な需要への対応を強く迫られている。約1000万人を抱えるジャカルタでも、至る所で新しい鉄道やショッピングモール、複合レジャー施設、集合住宅、オフィスなどの建設現場に遭遇する。一方で、住民と露天商が空き地を取り合い、市内の道路は渋滞することで知られ、定期的な洪水に見舞われる上に、息の詰まるような汚い空気が漂っている。特にジャカルタの発展とともに追いつかなくなってきたのが、ごみ収集とリサイクルサービスだ。ストローや菓子の包装などの使い捨てプラスチックは通常、とっくに満杯となっている埋立地に送られるか、非正規の収集業者によって燃やされるか、あるいは単純に市内の水路に捨てられてしまう。そうした中でレブリックスは、2019年後半に使い捨てプラスチックを利用して業界基準を満たしたレンガ製造に成功。ごみと都市発展による環境汚染というインドネシアが抱える2つの課題に取り組むための突破口を切り開いた。このレンガは、火山灰と山岳地帯の岩石、国内各地の家庭から寄付されたプラスチックごみにセメントを混ぜ合わせて造られる。従来のレンガと違って砂は含まれない。供給先は、手頃な価格の住宅や貧困層向けの公衆衛生施設を建設する慈善団体など。サブリナさんによると、価格は相応の競争力を持つ水準に抑えられ、従来のレンガと同じぐらいの耐用性や強度を持ち、燃えないし濡れても滑らない。レブリックスのウェブサイトには、1日当たり100平方メートル分の生産能力があると記されている。ただ、同社の基礎的な製造技術や人手を要する機械のために生産量は限られ、レンガ需要よりも寄付されるプラスチックごみの方が多いという事態にもしばしば直面する、とサブリナさんは述べた。それでもレブリックスはソーシャルメディアを使ってプラスチックごみの有効活用をアピールし、インドネシア政府との間では補助金付き住宅建設プロジェクトに同社のレンガを供給する方向で話し合いを進めている。サブリナさんは「途上国として『開発するな』とは言えない。開発は続いていくだろう。だが、少なくともごみをリサイクルできれば、プラスに働く」と訴えた。<建設セクターの責任>建造物・建設セクターは世界全体のエネルギー関連の温室効果ガス排出量の約40%を占めており、各国にとってこれを減らすことは、気候変動対策として国際的に公約した目標を達成する上で重要になる、と業界の専門家らは述べている。同セクターからの排出量の約半分が建設分野で、残りは建物が稼働した後の冷暖房や電力使用に由来する。国連人間居住計画(ハビタット)の気候変動チームに属するリー・ラナルダー氏は、セメント生産だけでも世界の温室効果排出量の7%に相当すると説明。同セクターで消費された原材料の9%弱しかリサイクルないし再利用されない状況は「建設して廃棄する」という考え方につながると指摘する。ラナルダー氏は「建造物と建設の業界は、気候変動問題やその対策を話し合う際に看過されてきた巨大な存在だ。気候危機を話題にする際に、このセクターへの現実的な対処がなされない限り、解決はできない」と言い切った。ただ、数多くの事業者が乱立する業界を変革するのは簡単ではない。また、アジアの多くの開発事業者は利益や利便性を重視し、環境にやさしい設計や建材を導入すればコストが割高になるとの見方をしている、と専門家は解説する。国連環境計画(UNEP)の建造物・建設専門家、ジョナサン・デュウィン氏は、環境にやさしい建材の使用は、ビルの種類によって3-5%のコスト増をもたらすと試算した。もっとも同氏によると、ビルの運営コストが長期的には割安になるため、総合的なコストは決して大きく跳ね上がらず、環境対策を進めるほど、むしろコストは下がるだろうという。循環型経済推進団体のニック

建造物・建設セクターは世界全体のエネルギー関連の温室効果ガス排出量の約40%を占めており、各国にとってこれを減らすことは、気候変動対策として国際的に公約した目標を達成する上で重要になる、と業界の専門家らは述べている。国連人間居住計画(ハビタット)の気候変動チームに属するリー・ラナルダー氏は、セメント生産だけでも世界の温室効果排出量の7%に相当すると説明。同セクターで消費された原材料の9%弱しかリサイクルないし再利用されない状況は「建設して廃棄する」という考え方につながると指摘する。

ラナルダー氏は「建造物と建設の業界は、気候変動問題やその対策を話し合う際に看過されてきた巨大な存在だ。気候危機を話題にする際に、このセクターへの現実的な対処がなされない限り、解決はできない」と言い切った。 ただ、数多くの事業者が乱立する業界を変革するのは簡単ではない。また、アジアの多くの開発事業者は利益や利便性を重視し、環境にやさしい設計や建材を導入すればコストが割高になるとの見方をしている、と専門家は解説する。もっとも同氏によると、ビルの運営コストが長期的には割安になるため、総合的なコストは決して大きく跳ね上がらず、環境対策を進めるほど、むしろコストは下がるだろうという。 循環型経済推進団体のニック・ジェフリーズ氏は「各国政府が環境にやさしい建造物への投資と開発拡大を約束すれば、建設労働者がそれに見合う技能を取得しようとする動機付けになる。将来、仕事が確実にあると分かるからだ」と述べた。もっとも現実は厳しい。ビクトリア大学ウェリントンで文化人類学講師を務めるイーライ・エリノフ氏は「環境にやさしいビルが少なからず建てられつつあるが、計画性が低く持続可能な原材料の割合も小さい上に、設計面でもあまり配慮がなされていないような大小さまざまのビル建設の方が圧倒的に多い」と語る。

ジャカルタでも、サブリナさんが話をした幾つかの大手業者は、環境問題よりもコストを重視する傾向がある。そうした業者は建材についても「お気に入り」の調達先を利用し、新しい建材はリスクがあると敬遠しがちだという。

 

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