日本、サウジアラビア両政府は液化水素のサプライチェーン(供給網)強化に関する協力に合意する方向で最終調整に入った。21日に予定する岸田文雄首相とムハンマド皇太子との首脳会談で確認する。石油依存経済からの脱却を目指すサウジを後押しするとともに、日本への供給拡大で経済安全保障の強化につなげる狙いがある。複数の政府関係者が18日、明らかにした。
水素は燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しないことから、脱炭素社会に向けた次世代エネルギーとして注目を集めている。日本は平成29年に世界初とされる「水素基本戦略」を策定し、この分野をリードしてきたが、水素に関する技術開発競争は近年激化しており、今後は欧米や中国との「水素争奪戦」が見込まれている。 一方、サウジは世界でも低コストで水素を生産できる国の一つとされ、本格生産に向けた動きも進めてきた。同国は2016年に取りまとめた「サウジ・ビジョン2030」に基づき、石油依存からの脱却と産業多角化に取り組んでおり、日本との連携で水素のサプライチェーン強化に乗り出す。具体的には、両国の企業がサウジで液化水素の輸出基地を整備し、日本市場などに供給するための調査の実施などで合意する見通しだ。
会談では、イスラエル軍とイスラム原理主義組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザの情勢に関して意見を交わし、事態の早期沈静化に向けた連携を確認するほか、健康・医療分野や上水道整備、スタートアップ支援なども協議する。
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