ブルームバーグの取材に対して広報担当者が電子メールで回答した。10兆円規模の米欧国債の売却については、2024年度末にかけて、期間の分散を図りながら実施する予定。リスク・バランスを踏まえながら、国内外の債券や株式、プロファイなどへの新規投資を検討する。具体的な資産や配分については個別に検討していく。
また、企業への融資を束ねて証券化したローン担保証券(CLO)についても、これまでと同様に選択肢の一つとしてリスク・リターンを勘案しながら適切に投資していくという。農林中金は3月末時点で7兆4000億円のCLOを保有。世界でも有数のCLOの買い手としても知られる。 56兆円の運用資産を抱える農林中金は、国際金融市場における国内最大規模の機関投資家の1社。18日夜に同社による米欧の国債約10兆円相当の売却計画が報じられると、ロンドンやニューヨークなど海外市場では代替投資先に関心が高まった。複数の市場関係者は投資先の一つとしてCLOの可能性が高いと指摘した。 S&Pグローバル・レーティングの久保英次ディレクターは「これまで金利リスクが集中し過ぎていたのが問題だったので、リスクを分散させるのはまっとうな判断だ」と述べた。一方、「資本規制と収益性という制約や難しい市場環境の中、資産をどう再配分するかは簡単ではない」とも指摘。CLOをさらに購入した場合、リスクが集中することにも懸念を示した。
外債処理などによって農林中金の今期(25年3月期)の最終赤字は1兆5000億円に膨らむ見通し。5月22日の発表で見込んでいた5000億円超から3倍に拡大する。同時点で財務基盤強化に向け、1兆2000億円規模の資本増強を実施する方針を示していた。 林芳正官房長官は6月19日午前の記者会見で、農林中金の経営状況が系統金融機関に与える影響を十分注視すると述べた。一方、十分な自己資本があり、財務の健全性は確保されているとも付け加えた。金融庁関係者によると、同庁も農林中金の健全性について懸念はしていないという。
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