意表を突かれた米中貿易戦争の激化で、市場参加者が警戒感を強めていることが表れている。だが、対ユーロや対新興国通貨などクロス円では、円高が広範に進んでいる。円は前週後半には対ユーロEURJPY=で１２２円台、対豪ドルAUDJPY=で７６円台、対ＮＺドルNZDJPY=Rで７１円台と、いずれも４カ月ぶり高値を更新した。
この水準をさらに上抜けると、トランプ米大統領の登場に市場が沸いた１６年１１月以来、約２年半ぶりの円高水準に達する。当時は１２年終盤から始まった「アベノミクス相場」が終えんを迎えたとの見方が浮上、年央からドルが１００円を割り込むなど円高が急速に進んだ。だが、閣僚級協議が行われたり、トランプ大統領が交渉の進展をうかがわせるような発言をしていたことなどから、連休前には「米中問題はいったん下火になったと決め込んだ参加者が少なくなかった」（大手銀の顧客担当者）という。 結局、事前のＦＸ業者の呼びかけや、個人投資家の売買手控えもあって、フラッシュ・クラッシュは発生しなかった。米株が堅調なこともあり、当面は低ボラティリティー環境のリスクオンムードの下、円はじり安が進むのではないかとの見方が広がり始めた矢先だった。週明け６日、前週末終盤の水準から気配値を切り下げて取引が始まったドルは、国内勢が復帰した７日以降も、下げ止まらず続落。国内勢が金利収入を求めて海外投資を活発化、ドル／円を押し上げるとの期待は大きく後退を余儀なくされた。
プットとコールの格差を計るリスクリバーサルJPY1MRR=も、今月に入り大きな動きをみせ、フラッシュ・クラッシュが発生した１月３日以来の水準へ到達した。一段のドル安／円高進行に、強い警戒感が広がっている様がうかがえる。
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