衆院3補選(4月28日投開票)の結果は、大方の予想通りだった。自民党の3戦全敗は織り込み済みだったが、立憲民主党の3戦全勝にはやはり「ムムッ」と思った。「政権交代」というワードが15年ぶりくらいに現実味を帯びたのだ。選挙翌日の新聞各紙を読むと、おおむね、自民党はダメだ、だが立憲民主党の政権奪還は難しい。2009年当時のような熱気もないし、野党がバラバラなので―という論調であった。理屈を言えばそうなんだが、政治というのは理屈ではない。「気分」なのだ。ただ、立憲民主党が単独で政権を取るのは難しい。295小選挙区中、まだ180程度しか候補を擁立していないからだ。日本維新の会と選挙区調整をして連立政権を目指すなら、そこに国民民主党や前原新党(教育無償化を実現する会)なども参加するだろうから、自公を過半数割れに追い込み、衆院で首班を取る可能性は出てくる。
先日、月刊「正論」(5月号)で、立憲民主党の野田佳彦元首相にインタビューしたのだが、日本維新の会との連携に強い意欲を示しただけでなく、代表復帰も否定しなかった。筆者は「野田首相で維新との連立」は十分に「あり」だと思っている。もう一つ、今回3補選で立憲民主党の候補は、いずれも共産党の支援を得た。日本維新の会と組むなら共産党は切らねばならない。それができるのか。 自民党も絶対に黙って見てはいない。選挙で負けたとしても、負けたなりに政権維持を狙ってくる。自民党にはそういうしぶとさがある。自公で過半数を割ったら、連立を組み替えればいいのだ。国民民主党とは麻生太郎副総裁が、日本維新の会とは菅義偉元首相が窓口になっている。結論を言うと、自民党は相当厳しい状況で、選挙をすれば自公による政権継続は難しい。その場合、第1党は多分、自民党だが、立憲民主党かもしれない。第3党が日本維新の会。日本は「3大政党制」、もしくは「2・5大政党制」になるのではないか。
そして、自民党と立憲民主党が日本維新の会を取り合うことになる。菅義偉、野田佳彦の両元首相が、その場合のキーマンとなる。筆者は、日本維新の会は最終的に自民党を連立相手に選ぶのではないかと見ているが。(フジテレビ特別解説委員、平井文夫)
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