最高の状態に仕上げて今季のメジャー初戦を迎えようとしているのは誰か。不安を抱えて臨むことになりそうなのは誰か。戦前の予想は尽きないが、ゴルフの場合、そこから勝者を予測することは難しく、過去をひもといても一定の法則は見いだしにくい。昨年はジョン・ラーム（スペイン）が優勝したが、彼は大会前の8試合で3勝をマーク。好調を維持して出場すると、その勢いのまま初優勝を飾った。
あのシナリオは誰も予想できなかったのではないか――ウィレットの家族を除けば。マスターズの優勝セレモニーでは、前年の優勝選手が、その年の大会を制した選手にグリーンジャケットを着せるのが恒例だが、スピースがどんな思いだったか、想像に難くない。翌17年の大会も予期せぬ展開になった。勝ったのはセルヒオ・ガルシア（スペイン）だったが、彼はそのシーズン序盤の米ツアー6戦は未勝利。そもそもオーガスタとは相性が悪く、前年までの18戦では予選落ちが5回で、トップ10に入った回数（3回）よりも多かった。優勝後も5回出場し、4回が予選落ち。そんな選手が勝つこともあるのだ。 今年、もし「好調な選手」というくくりで優勝候補を予想するなら、それはラームではないだろう。彼はLIVゴルフに主戦場を移した後、4試合に出場し、3位タイ、8位、5位、8位タイで未勝利。すべてトップ10ではあるものの、LIVゴルフでの成績は、彼の実力からしたら決していいとはいえない。では、調子がいいのは？
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