日銀の国債買い入れ減額が債券市場に波紋を広げている。円安の進行とともに日銀がタカ派的なトーンを打ち出しているとの観測が広がっていた中での減額だっただけに市場は敏感に反応した。写真は2023年1月、東京の証券会社店頭で撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)[東京 14日 ロイター] -...
日銀が3月の金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除して以降、残存5年超10年以下対象の日銀の国債買い入れオペは、需給の引き締まりを示す結果が続いた。今回の減額はこれを受けたものとの見方がある一方、円安対応として日銀が金利を高めに誘導をするためではないかとの指摘もある。ニッセイ基礎研究所の金融調査室長、福本勇樹氏は、円安進行に伴う物価高への警戒感が広がる中、今回日銀が国債買い入れを減額したことは「より正常化に向かうというメッセージになった」との見方を示す。 156円手前まで上昇していたドル/円は、減額の発表後に一時155円半ばまで下落したが、短時間で155円後半に持ち直した。為替市場への影響は限定的だが、国債買い入れの減額による金利上昇が見込まれる中では、徐々に為替市場にもその効果が波及してくる可能性はある。鶴田氏の試算によると、今回の日銀オペ減額後の国債買い入れ額は月間5兆7100億円、年間では68兆円5000億円。今後1年間に償還を迎える国債68兆4000億円を差し引くと1000億円程度と、保有残高はぎりぎり減らない状況。高水準の買い入れが続いている中長期ゾーンを中心とした国債買い入れの減額観測が市場で強まれば、長期金利は一段の上昇圧力がかかる。4月26日の植田日銀総裁の会見後に進んだ円安を受けて、円債市場では、円安抑止のため日銀がタカ派に傾斜しているという思惑は出ていた。7日の岸田首相と植田総裁との会談、9日公表の4月会合の主な意見での国債買い入れ減額を巡る発言などが注目された。<利上げ時期は前倒し、利上げパスは変わらず>
ロンドン証券取引所グループ(LSEG)のBOJウォッチのデータによると、7月30ー31日開催の日銀会合でのインプライドレートは13日時点で0.1766%。10日の0.1689%から追加利上げを織り込む動きが一段と進んだ。一方で、「市場は日銀の早めの利上げは想定しながらも、利上げ到達点の織り込みは変えていない」とSMBC日興証券のシニア金利ストラテジスト、奥村任氏は指摘する。最近のスワップ市場の織り込みをみると、手前の短いところの金利は上昇している一方、長めのフォワードの金利はあまり上がっていないという。
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