映画『名探偵ピカチュウ』でピカチュウのデザインを担当したアートディレクターのラヴィ・バンザルは、かわいさを生み出すためには切り捨てなければならないものがあることを知っている。バンザルは当時、ムーヴィング・ピクチャー・カンパニー(MPC)のアートチームを率いていたが、「実写化に当たっては、アニメのピカチュウのかわいさを構成していた要素との間でバランスをとることが必要でした」と話す。「現実世界の生き物には手足の指の爪、まつ毛、涙管といったものがあります」
こうしたものを組み入れれば、キャラクターの本物らしさは増す。だが、同時に危険な効果も生み出してしまう。バンザルは「かわいくて魅力的な生き物にするために、現実味に関してはある程度の妥協をして、ちょうどいいバランスを見つけなければならないのです」と言う。バンザルは「かわいさの理由を割り出すことは難しいと思います。目や鼻や口といった個々の要素とそのバランス、それらが全体でどう作用するかといったことではないでしょうか」と語る。「例えば、口の端がちょっと動くといったごくささいなことかもしれません。それが笑っているような印象を与えると、かわいいと思えてくるのです」 イタリア国立衛生研究所のボルジもこれに同意する。個別の要素とバランスが重要であることを考えると、それぞれのキャラクターの特徴とかわいさの間に数学的な相関性をもたせることは容易ではないだろう。したがって、ある程度のガイドラインはあるにしても、かわいさでひと儲けしようとするなら、キャラクターの完成にはそれなりの時間をかける必要があるのだ。
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