確となった。京都国際は、清水詩太(うた)遊撃手(1年)が9回にサヨナラ打を放った。京都から2校が選出されれば、19年の龍谷大平安と福知山成美以来、5年ぶりとなる。9回1死二塁、京都国際の清水は打席に入る前、ボールボーイを務めた藤本陽毅内野手(2年)から闘魂を注入された。「気持ちやぞ!」と、拳でトントンと胸をたたかれた。「いつも通りのスタイルで初球から」。左前サヨナラ打で、9回表まで0が並んだスコアボードに1を刻んだ。「一緒に戦ってきた藤本さんが泣いていた。人一倍、勝ちたい気持ちがあった。感情的になって声をかけられなかった」と、歓喜の中で涙をこぼした。
1年から正遊撃手だった藤本は今秋、ウイルス性肝炎で入院。退院後は福岡の実家で療養していた。その間、清水は師匠と仰ぐ藤本とLINEでやり取りし、球場の風やバウンドの特徴を教わった。25日に帰ってきた先輩の前で、ひと振りで仕留めた。エース左腕の中崎琉生(2年)が無四死球で完封し、3年ぶりの4強で当確切符をつかんだ。小牧憲継監督(40)は「本当に苦しかった。清水は気持ちが弱いところがあるが、覚悟を持って振ってくれた」と、勝利をかみしめた。 22年センバツは、新型コロナウイルスの集団感染で無念の辞退。代替出場で、準Vまで駆け上がったのが近江だった。同年6月の“友情マッチ”以来の顔合わせで、前日28日には指揮官から当時の話を聞かされた。「本当にどっちが強いか決める場だ、と。どの試合よりも気持ちが入っていたし、スタンドの3年生の声も聞こえていた」と清水。前チームは春夏の甲子園を踏めなかったが、思いは受け継がれた。(瀬川 楓花)
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