金属でできた製品というイメージが強い自動車ですが、なかには軽量化の観点から樹脂製のボディーを持つものも存在します。今回は、そのうちFRP(繊維強化プラスチック)をまとうモデルをピックアップ。週替わりで紹介します。1947年にイギリスで設立されたスポーツカースペシャリストであるTVR。1967年に登場したタスカンは、鋼管フレームにFRP製の2座クーペボディーを架装していた。この車体は同年にデビューしたヴィクセンと基本的に同じだが、ヴィクセンの英国フォード製1.6リッター直4に対して、英国フォード製3リッターV6あるいは米国フォード製4.7リッターV8というパワフルなエンジンを搭載。1971年までに174台がつくられた。
それから30年近くを経た1999年にその名が復活した(写真)。同社の文法どおり鋼管フレームに載るFRP製2座クーペボディーは、グラマラスなデザインでデタッチャブルトップが備わる。長いノーズにおさまるパワーユニットは、スピードシックスという名称の由来となった、TVR自製の総アルミ製、ドライサンプ仕様の4リッター直6 DOHC 24バルブ。最高出力360PSに対して車重は1100kgだから馬力あたりの重量はわずか3.1kgで、5段MTを介して290km/h近いトップスピードと0-96km/h加速4.2秒という抜群のパフォーマンスを発揮。絶対的な動力性能もさることながら、直6ユニットの吹け上がりと音色のすばらしさも絶賛された。
その後、ボディーにエアロパーツを付加し、390PSにまでパワーアップしたタスカンSを追加設定。2005年にはフェイスリフトを実施してコンバーチブルも加えられたが、翌2006年にTVRが経営破綻したため生産終了。生産台数は初代の10倍近い1677台といわれている。
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