政府・日本銀行による「為替介入」の観測が広がり、外国為替市場の対ドルの円相場が乱高下している。しかし、円安・ドル高の基調に変わりはない。海外での稼ぎが多い企業や、インバウンド(訪日客)の誘客にとって円安は追い風となる一方で、原材料やエネルギーで輸入依存度の高い中小企業の経営を直撃する。中小企業は製造工程の見直しや調達先の変更などの工夫で乗り切る構えだが対策にも限界がある。コスト増分の価格転嫁も進んでいない。外国為替市場では、日米の金融政策の違いを主因とする円安ドル高が続いている。円安になれば商社や自動車などの大企業は海外事業の円建て収益の増加などで恩恵を受ける。一方、原材料などの輸入物価が上昇するため、小売りなど内需中心の中小企業はコスト負担が増加することになる。
中小企業が円安を克服するにはコスト上昇分の価格転嫁がカギを握るが、東京商工リサーチが近畿2府4県で2月に行った調査では、企業規模を問わず「価格転嫁が全くできていない」としたのは276社中92社(33・3%)。コスト上昇分の半額以下の転嫁率にとどまったのは192社(69・5%)に上った。 大企業の中には供給網を見直し、国内回帰を進めるなど円安対策を講じるケースもある。大阪府内の食品製造メーカーの中小も「輸入原料の調達先の変更や国産品の割合を高めることも検討する」とするが、国産品も高価格で現実味が薄い。また、卸業の担当者は価格競争があるため値上げは困難だとし、「対策を取ろうにも、為替はコントロールできない」とあきらめ顔だった。
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