さて、これまでフロントスピーカーのツイーターとミッドウーファー間の「クロスオーバー」の設定方法を解説してきたが、それを完ぺきに仕上げるのは実のところ、かなり困難だ。しかしこれがばっちり決まると、スピーカーの性能をより引き出せる。というのも「クロスオーバー」の設定はまさしく、スピーカーの性能を引き出すためのものだからだ。
なおこの操作に慣れていない場合には、使用しているスピーカーに付属されている「パッシブクロスオーバーネットワーク」の値をそのまま再現し、そこから微調整を加えていくのもアリだ。「パッシブクロスオーバーネットワーク」の設定はつまりは設計者が考えた値であり、そのスピーカーにとってのいわば“基本値”だ。なのでそこをベースに設定すれば、大きく的を外すことはないはずだ。ところで微調整を加える際には、以下の点に留意しよう。まずは「ツイーターのカットオフ周波数を下げすぎないこと」が重要となる。どこからが危険ゾーンなのかはケースバイケースで一概には言えないが、通常鳴らす帯域よりも低い音の信号を入力するとツイーターは壊れることがある。くれぐれもご注意を。
そして、「位相を合わせる」意識を常に持つことも大切だ。「スロープ」の設定を変えると「位相」がズレる。そして「位相」がズレるとツイーターとミッドウーファーの音の一体感が損なわれる。そうなってしまったら、サウンドは悪い方向へと進むのみだ。「位相」を合わせることが、「クロスオーバー」設定のキモとなる。 また、各スピーカーの音量バランスを取ることも実に重要だ。ちなみにいうと、「パッシブクロスオーバーネットワーク」にて「クロスオーバー」を設定する場合には、フロント2ウェイの個々のスピーカーユニットの音量を厳密に調整できない。しかし「プロセッサー」にて「クロスオーバー」を設定する場合には、それが可能となる。この点も「プロセッサー」にてサウンドチューニングを行うことの大きな利点であり、ポイントとなる。今回は以上だ。次回からは「タイムアライメント」の設定方法を解説していく。お楽しみに。
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