【ワシントン=坂本一之】4月10日に米ワシントンで行われる日米首脳会談で、共同声明に「日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用される」と明記することで両政府は最終調整に入った。米国の日本防衛に対する揺るぎないコミットメントを再確認し、インド太平洋地域で軍事覇権の拡大を図る中国を牽制(けんせい)する。
日米安保条約第5条は、米国の対日防衛義務を定めている。中国海警局の船が沖縄県の尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返す中、共同声明に盛り込むことで、米国が核を含む米軍の能力で防衛する姿勢を打ち出す狙いがある。尖閣諸島への5条適用は、昨年の日米首脳会談でも確認している。 バイデン米大統領は岸田文雄首相との会談で、武力や威圧による一方的な現状変更に反対する姿勢を示し、東・南シナ海で威圧的な行動を強める中国への懸念を示す考え。共同声明で「台湾海峡の平和と安定を維持する重要性」を打ち出し、武力行使による台湾統一を排除しない習近平政権に自制を促す方針だ。今回は、9年ぶりに日本の首相を国賓待遇で招いて開く重要な会談となる。
共同声明には、北朝鮮による拉致問題も盛り込まれる。拉致被害者家族の高齢化を踏まえ、両政府は「拉致問題の即時解決」を目指すことで調整している。また、人工知能(AI)や半導体など先端技術分野の協力強化も記す方向だ。 首脳会談では、米軍と自衛隊の連携強化も協議する。すでに日米両政府は、陸海空自衛隊の一体的運用を図る「統合司令部」の設置に合わせた連携体制の強化を議論していて、首脳会談後に議論を加速させる考えだ。米軍の指揮系統の見直しを含め、有事の際の米軍と自衛隊の運用の一体性を高める。
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