黒後が戦力として帰ってきた。セットカウント1—0の16—10。真鍋政義監督(60)にリ リーフ サーバー として起用され、相手守備の前にふわりと落とす絶妙な1本でサービスエースだ。日の丸をつけての3年ぶりの得点。トルコとの開幕戦(15日)で途中出場し、21年東京五輪以来となる代表復帰を果たした25歳は「出場機会が少ない分、結果を出さなきゃなと。ポイントを取ることができてうれしい」とトレードマークの笑顔がはじけ、チームの勢いを加速させた。監督の下で古賀とともにエースの役割を担ったが、チームは1次リーグ敗退。黒後は心身の状態が上がらず、1シーズン栃木の実家に戻り、休養した。バレー経験者の両親、姉のサポートを受け、「完全に(バレーから)離れることはなかった。それはありがたかった」と振り返る。昨秋のブラジル戦は会場で観戦し涙。「恩返し」の思いから復帰へのスタートを切り、日の丸の舞台に戻ってきた。
黒後の1本でチームは乗った。最終セットは11—11の競り合った場面からミドルブロッカーの山田が相手スパイクをブロック。古賀主将の強打でつなぎ、マッチポイントから主軸の林がレフトから決め切った。高さのあるブルガリアに対し、わずか1時間17分で一蹴。山田は「昨日(のトルコ戦)よりも精度の高いバレーができて、最後までいいリズムだった」と胸を張った。 古賀や石川、林ら層が厚い攻撃陣の中で共闘し、04年アテネ五輪から続く6大会連続出場の目標に向かう。持ち味の力強いスパイクに加え、サーブも好調な黒後は「ここまで支えてもらった人に感謝の気持ちを伝えたいのが今は一番」と思いを込めた。日本の五輪切符獲得の起爆剤となる。◆日本女子のパリ五輪への道 五輪出場12枠のうち、昨年五輪予選で出場権を獲得したのはトルコ、米国、ブラジル、セルビア、ポーランド、ドミニカ共和国と、開催国・フランスの7チーム。残る5枠は16チームで争うネーションズリーグ(NL)1次リーグ終了時の6月17日付の世界ランクで決定。アジア・オセアニア、アフリカ大陸はまだ出場権を得ておらず、アフリカはケニアが有力。日本はアジア最上位となるか、すでに出場を決めたチームなどを除く上位3か国に入ることが条件となる。
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