広島市内の53階建ての高層マンションから16日に転落し、その後死亡した住人の女児(3)は、居室からベランダに出たあと、踏み台を使って手すりを乗り越えたとみられる。同種の転落事案は過去にも相次いでいるほか、換気のために窓を開ける機会が増える春や秋に発生時期が集中。政府が注意を呼びかけている。広島県警によると、転落は16日午後6時ごろに発生。女児は30階程度の中層階の住民だった。落下現場とみられるベランダには、普段は別の場所に置いてある踏み台が見つかった。女児が自ら持ち出し、高さ約135センチの手すりを乗り越えた可能性がある。また、居室の台所の勝手口がわずかに開いており、そこからベランダに出たとみられるという。
政府広報によると、子供の転落事故は、1人で歩き始める1~2歳ごろから増え始め、3~4歳で最も多くなる。好奇心や自我が芽生え、活発な動きができるようになる時期である一方で、状況の危険性についての判断はまだつかない年ごろだ。令和4年11月には千葉、大阪、青森のマンションなどで2~4歳の男児が相次いで死亡。青森で10階から男児(4)が転落した事故では、普段は室内にあったパイプ椅子がベランダに置かれており、自ら移動させたとみられる。2歳の男児が亡くなった千葉のケースでも、ベランダに折り畳み式の椅子があったという。政府広報では転落防止に向け、ベランダには、ひもで縛った新聞や段ボール、椅子など、踏み台になるようなものは置かないよう要望。エアコンの室外機は、手すりから60センチ以上離す必要があるとしている。さらに、ベランダに続く窓などには、子供の届かない位置に補助錠を付けることを求めている。東京消防庁の統計によると、平成29~令和3年の5年間で、住宅の窓やベランダから転落して救急搬送された5歳以下の子供は62人。このうち、発生時期は5月が17人と最も多く、次いで10月が9人だった。
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