自ら白星を手放す形となった逆転負けだ。阪神の岡田彰布監督(66)が「あれで終わりよ」と振り返った分岐点は、1点リードの八回無死二塁。相手の送りバントをさばいた坂本の送球に対し、佐藤輝がまさかの捕球ミスを犯し、そこから3失点だ。首位堅持の流れから暗転しての、首位陥落。痛すぎる敗戦となった。「あれで終わりよ。(当たり前のことができなかった?)もうええ、ええ。それは。キャッチボールやからな。普通のプレーやんか」
痛恨のプレーは2-1の八回だ。無死二塁から田中のバントが捕手前で弾むと、坂本は迷わず三塁へ。佐藤輝がキャッチしてタッチすれば、タイミングは完全にアウトだった。だが、まさかの捕球ミス。無死一、三塁にピンチが広がり、村上はカリステに同点打を献上。1死満塁から石川昂に勝ち越し打を浴びた。リーグワーストタイとなる6失策目に佐藤輝は猛省。馬場内野守備走塁コーチは「あそこは絶対アウトにしてあげないとダメでしょ、難しいとかいう問題じゃない。そこは絶対アウトにしてあげないとダメ」と繰り返し、厳しく指摘した。 佐藤輝は四回にも、石川昂の三遊間の打球に対してバウンドを合わせられず、左前打としていた。今春はキャンプから意欲的に特守に励んできたが、シーズンで結果として表れない。四回に関しては失策が付かなかったものの、バットでは六回の得点に絡む二塁打を放つなどマルチ安打を記録しただけに、あまりにもったいない八回の守備だった。
「あの回までやったけどなあ。球数的にな。うまいことバントでいけたと思うたけどなあ」と岡田監督。村上は前回登板も味方の失策に足を引っ張られ、敗戦投手になっている。「村上の時、いくつエラーしたんや」。先発の大黒柱に勝ちを付けられず、指揮官も嘆くしかない。 この日は年に一度の豊橋での一戦。練習前には、岡田監督が「グラウンド硬いな」と木浪らに話しかける場面があった。「守りの野球」を掲げる将はいつもノックバットを片手に土や芝などの感触を確かめる。細心の注意を払うからこそ、佐藤輝のような軽く見えるプレーがもどかしい。
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