関連死防ぐ避難所環境改善を 体育館に雑魚寝を繰り返さない 編集長・岸本佳子 西論プラス

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元日に発生した能登半島地震から3カ月が過ぎた。いまなお珠洲市や輪島市などの約7860戸で断水が続き、一次避難所には4153人が暮らすなど、被災地では不自由な生…

元日に発生した能登半島地震から3カ月が過ぎた。いまなお珠洲市や輪島市などの約7860戸で断水が続き、一次避難所には4153人が暮らすなど、被災地では不自由な生活が続く(いずれも3月29日現在)。それでも、3月末には石川県が、現状復旧にとどまらない「創造的復興」に向けた復興計画の骨子を発表するなど、前に向かって歩みを進めている。

この3カ月間、心にひっかかっていたことがある。避難所の環境だ。被災した人たちが、体育館の床の上に、毛布などを敷いて座っている。その様子は、平成7年の阪神淡路大震災のときに取材で訪れた避難所と、ほとんど変わっていなかった。時代は令和になって、スマホもAIも登場した。なのになぜ、避難所環境は変わらないのだろうか。 2月に衆院予算委員会で質問に立った自民党の石破茂元幹事長も避難所のあり方について言及した。「体育館に雑魚寝の状態であることは、100年前と変わっていないのではないか」。NGОや国際赤十字などが定めた、最低限満たすべき基準「スフィア基準」を引き合いにだし、「健康で良好な環境、これは避難所で暮らす人たちの権利なのだと書かれている。しかしながらあるべき姿が実現された避難所はそんなに多くはない」と指摘した。その通りだと思う。

避難所の環境を整えることは、災害関連死を防ぐために、極めて重要だ。2月末に京都市内で開かれていた「避難所・避難生活学会」学術集会でも、避難所の在り方について熱心に議論されていた。「新たな国土強靭化基本計画―避難生活における災害関連死の最大限の防止」をテーマに開かれたシンポジウムでは、行政や医療の関係者らが討議。「この国の災害対策には、人道、という文脈が欠落している」「組織やシステムをきちんと作らない限り失敗は続く」。次々と厳しい指摘が相次いでいた。そんな中、災害関連死を防ぐ避難所づくりをイタリアに学ぼう、という発表があった。発言者は、同学会常任理事で、段ボール製造販売「Jパックス」(大阪府八尾市)代表取締役社長の水谷嘉浩さん。2012年5月に2度にわたって大地震が起きた、イタリア北部のエミリアロマーニャ州を、発災から約2カ月後に訪れた。

たどりついた避難所で目にしたのは、トイレやシャワーが備え付けられた移動式コンテナ。家族が過ごせるテントがずらりと並び、その中にはベッドが設置されていた。安全に子供を遊ばせられるようにおもちゃをとりそろえ、臨床心理士らが配置されたテントもあった。イタリアでは災害が起きると、国内各地の備蓄拠点から、トイレやベッドなどを備えたコンテナがただちに被災地に向けて出発するという。

 

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