投票先を失った自民党支持者が棄権もしくは分散し、立憲民主党と共産党の〝連合軍〟が労せずして勝利を得るかたちとなった。この勝利は、期待の高まりというより、日本維新の会や国民民主党に比べて、地域に組織基盤のある両党が相対的に有利だったということで、それ以上のことではないのではないか。特に、東京15区の選挙結果は、まさに筆者の予想通り、共産党と共闘する立憲民主党候補の〝独走状態〟になってしまった。当初は、各陣営ともこの問題を取り上げたが、自民党候補が存在しない中で他候補との差別化ができず、終盤戦になるにつれ、この話題は低調になってしまった。
では、政策論争が盛り上がったかというと、これも「さっぱり」だったと言っていい。多くの候補者が「減税」「社会保険料引き下げ」を公約に掲げたものの、具体論がないために、有権者から見れば、どれも同じ主張に見えたのではないか。驚いたのは、同選挙区の選挙公報だ。あるミニ政党の欄をみると「自民党政策を推薦します」との大見出しが掲げられていた。自民党票狙いなのかもしれないが、「自民党が候補者を立てなかった影響はこんな形で表れてしまうのか」と開いた口が塞がらなかった。勝敗は時運のおもむくところ、勝つこともあれば、負けることもある。仮に負けたとしても、「国民の審判」を真正面から受け止めることによって、次の展開につながるというものだ。
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