【能見篤史 視点】交流戦でも、投手陣が阪神のポイントとなるのは間違いない。ここまでのチーム防御率はリーグトップの2・17。救援防御率は12球団で一番の1・60。この数字が1点差試合で13勝5敗という成績の裏付けになっている。
交流戦というのは、投手にとっては同一リーグとの対戦とはまた違った感覚になる。相手が何が得意で何が苦手か、きめ細かいデータは入ってこない。だから配球うんぬんより、どんどん勝負をした方がいい結果になる。私もそんな経験があった。「この球は意外に使える」という気づきもあり、自分の球の質を再確認できる場にもなるのだ。 開幕から勝ちパターンを担ってきたゲラと岩崎は26日の巨人戦でともに失点を許したが、トータルではここまで十分過ぎる投球を見せている。この2人がこれからもブルペンの不動の柱であるのは間違いない。岩崎にとっては、パ・リーグに似たタイプがいないことが交流戦でプラスに働くと見ている。 だが、同時にこの時期からシーズン終盤をにらむことも必要になってくる。セ・リーグは8、9月までもつれる展開になると予想される。いかに余力を残して、終盤に備えるかがペナントを左右する。その意味でも、これからの石井の起用法に注目したい。ここまで9試合に登板し、防御率は1・08。特筆されるのは16・20という奪三振率の高さだ。直球の球威、フォークの切れで、欲しいところで三振が取れる。後ろを任せられる能力を石井は示している。
ゲラ、岩崎だけでなく、石井も加えて、勝ちパターンのバリエーションを増やせば、それぞれの負担が分散されて後半戦にもつながってくる。打線の状態がなかなか上がらない状況で、できるだけ個々の連投を避けて、勝てる試合を確実にものにすることが必要。その意味でも石井は重要なピースだ。(スポニチ本紙評論家)
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