災害時に備え、羽毛布団を羽毛布団にリユースしませんか――。老舗の寝具店「眠り屋ヒラマツ」(三重県伊勢市宮町1)が使わなくなった羽毛布団を被災時に使用できる寝袋にして備えることを提案している。平松隆太店長(60)は「羽毛は限られた資源で、手入れをすれば100年使える。押し入れの羽毛布団を寝袋にリユースすることで自然環境に優しく、押し入れも片付き、災害時にも役立つ」と呼び掛けている。【小沢由紀】
平松さんは元日に発生した能登半島地震のほか、全国各地で災害が起きた際の避難所生活を報道で見るたび、「避難所の寝具は良くて毛布ぐらい。少しでも快適に過ごすにはどうしたらいいだろう……」と思い続けていたという。そんな中、取引先が寝袋の外側の生地を扱っていることを知り、羽毛布団のリユースとして寝袋への再生を思いついた。 リユースされた寝袋で使われる生地はパラシュートにも使われるほど丈夫で、広げると幅1・5メートル、長さ2・1メートル。薄い掛け布団としても使えるほか、三方にファスナーが付いていて、二つ折りにして閉じると寝袋になる。寝袋1枚に約500グラムの羽毛を使うので、約1・5キロの羽毛が使われているシングルの羽毛布団なら寝袋2〜3個に再生できる。また、普段は長さ45センチ、幅18センチの袋にコンパクトに収納でき、避難の際に持ち出しやすい。
創業124年の老舗で4代目の平松さんは、時間にして人生の3分の1を占めるとされる睡眠の重要性を説き、NPO法人日本睡眠環境研究機構の「睡眠環境診断士」の資格を取得し、一人一人の体質や環境に合ったオリジナル寝具の開発や質の良い眠りのアドバイスをしている。また、環境問題にもいち早く取り組み、30年以上前から羽毛のリサイクルにも力を入れてきた。 持ち込まれた羽毛布団は、解体して羽毛を取り出し、明和町の羽毛素材メーカー「河田フェザー」で洗浄した後、平松さんが充塡(じゅうてん)して寝袋に仕立てる。寝袋は1枚3万8280円で、2枚目からは2万7280円(ともに税込み)。
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