【ワシントン=坂本一之】オースティン米国防長官は16日、中国の董軍(とう・ぐん)国防相とテレビ電話で会談し、中国が高圧的な海洋進出を図る南シナ海に関し「航行の自由」の重要性を強調し牽制した。米中国防相による対話は2022年11月以来。米中両政府はバイデン大統領と習近平国家主席の昨年11月の首脳会談で合意した国防当局・軍高官対話の再開を進めていた。会談でオースティン氏は、中国が軍事圧力を強める台湾に関し「台湾海峡の平和と安定の重要性」を改めて指摘。軍事的緊張を高めないよう自制を促した。
また、米軍が台湾海峡や南シナ海で実施している艦船の航行などを巡り「国際法が許す限り米国は安全かつ責任ある飛行や航行を継続する」と表明した。ロシアによるウクライナ侵略も協議、弾道ミサイル発射を続ける「北朝鮮による挑発行為」への懸念を伝えた。米中間の対話は22年、当時の米下院議長の訪台などに中国が反発し停滞。オースティン氏は、米軍が23年2月に米領空に侵入した中国の偵察気球を撃墜した直後、当時の魏鳳和国防相に電話協議を申し入れたが拒否された。23年3月に国防相に就任した李尚福氏も、米国が制裁対象にしていることを理由に拒み続けた。今年1月にはワシントンで米中高官による「防衛政策調整対話」を開催。4月3〜4日には「軍事海洋協議協定」に基づく作業部会を米ハワイ州で開き、過去数年に起きた米中両軍の艦艇や軍用機の異常接近などについて話し合った。
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