政府が外国人労働者を受け入れる特定技能制度の対象に自動車運送業や鉄道など4分野を追加する背景には、「2024年問題」に代表される深刻な人材不足を解消したい狙いがある。ただ、バスやタクシー運転手らには他の分野より高い日本語スキルなどが必要で、採用拡大には教育制度の充実などが課題になる。だが外国人運転手の採用は容易ではない。西武バスは「前向きに検討していきたいが、受け入れ環境の整備ができていない」。非常時対応などで高い日本語能力などが求められることもあり「正直、個社で対応するのは難しい。国や協会の支援がほしい」と訴える。
タクシー大手の日本交通も「働き手が多くなって業界の裾野が広がるのを前向きに受け止めている」というが、現時点では積極的に採用する方向ではないという。教育を含め受け入れ環境の整備に腰を据えて取り組む必要があり「実際に運転できるようになるのはそう簡単ではない」ようだ。私鉄大手の京浜急行電鉄は「人材は不足しており、選択肢の一つとして検討するが、採用の可能性があるとしてもまだ先の話だ」としている。一方でJR東日本は積極的で、日本的な仕事などを学ぶプログラムを活用し「車両などの分野で受け入れたい」という。(万福博之、中村智隆)
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