日本政府が為替円安に身構えている。日米韓の枠組みでドル高に対する懸念を共有して介入への布石を打ったが、効果に疑問の声も残り、円安がさらなる物価高に飛び火すれば好循環の流れに水を差しかねない。写真は2017年6月撮影(2024年 ロイター/Thomas White)[東京 22日 ロイター] -...
日米財務相会談に続き、17日には日米韓財務相会合を初めて開催。「最近の急速な円安、ウォン安に関する日韓の深刻な懸念」を認識し、「外国為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する」ことを柱とする声明をまとめた。日韓と同様に、通貨安に苦しむブラジル中央銀行のカンポス・ネト総裁は20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の議長国会見で、ドル高は「常に問題」と危機感をあらわにした。「(日米韓財務相による共同声明は)先例もなく、大きな意味をもつ。今後過度な動きが出れば円買い介入する含意があるのだろう」と、政権与党の1人は語る。約34年ぶりの円安水準となる1ドル=154円台後半での推移の裏で、すでに市場は神経戦を繰り広げている。昨年末に1ドル=141円台だった円相場は、足元で換算すると9%超減価している。ある政府関係者は「為替がこうなるとは正直思っていなかった」と漏らす。もっとも「ワンショットの円買い介入がドル高という世界的な流れを変えられるかは判然としない」(前出の政府関係者)との声も残り、円安是正に向けては紆余曲折も予想される。「金利差が意識されている以上、米国の利下げ頼み」(与党中堅
物価上昇を上回る賃上げを続けられるかにも黄信号が灯りそうだ。岸田文雄首相は「官民が連携して賃金が上がり、可処分所得が増える状況を今年の夏には確実につくる」と意気込むが、先行き物価が想定以上に上振れすれば、賃上げ効果が減衰するのは避けられない。その後、日銀が物価見通しを2.4%に引き下げた分、余裕が生まれたとみられる半面、為替がもたらす影響は向こう数カ月にわたって頭痛の種になりそうだ。
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