オーストラリア海洋保護協会所属のサメ研究家、レオナルド・グイダ博士は、その姿は「自然が見せる最も過酷な姿」だと指摘し、これほどの事例はこれまで見たことがないと述べた。
この干からびたオオメジロザメは、ノーザンテリトリー北西部を流れるデイリー川流域にある三日月湖の泥の中で9月に見つかったと、グイダは本誌に語った。グイダの推定では、幼魚はここに数週間前からいたのだろうと言う。当時のこの地域の気温は摂氏35度前後だった。洪水のあと、あるいは川が流れを変えたあとにできる孤立した三日月湖を、オーストラリア語でビラボンという。オーストラリアでは、季節の変化に伴ってこうしたビラボンが形成され、一時的に水をたたえるが、気温の上昇と共に干上がるのが常だ。この幼魚もビラボンと共に干上がったのだろう。グイダによれば、水深が浅い場合、ビラボンはあっという間に干上がることがあるという。
グイダは、干からびたサメの写真をツイッターに投稿し、こう書いた。「干からびたオオメジロザメの幼魚を発見したのは、川の本流から1キロ離れ、海岸からは80キロも上流にある、辺ぴなビラボンでのことだ。地球における生命の営みの過酷さを思い知らされた」「雨期の降水で増水した水位が急に下がると、この幼魚のように川の本流に戻るタイミングを失い、ビラボンに閉じ込められてしまうことがある。そうなると、次の雨期が来て再び周囲が水に浸かるのを待つしかないが、このサメは残念ながら、生存に適さないビラボンを選んでしまった」今回のような状態のサメが見つかるのは異例だとダイダはいう。「どんな種類のサメであれ、私がこれまで見かけた干からびた個体は、どこかの海岸で腐乱したか、市場で売られているものだった」とグイダは言う。「この幼魚がこれだけ海岸から遠い場所で見つかったことを考えると、自然の厳しさを改めて痛感させられる」
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