昨年5月8日に新型コロナウイルスが5類感染症に移行されてから1年が経過した。人流が回復したことで、コロナ禍で沈んだ観光業界や飲食業界も徐々に復活している。一方、急激に需要が増加したことで、多くの業種で労働力が必要となり、業界は人手不足に頭を悩ませる。
23年度の入域観光者数は前年度比25.9%増の853万2600人。国内客はコロナ前の18年度を上回り、過去最多となった。しかし、インバウンド(訪日客)の戻りは道半ば。コロナ前に外国客の多くを占めていた中国客の旅行スタイルの変化などからクルーズ船客が伸び悩み、航空路線も回復していない。今後は海外マーケットの取り込みや受け入れ体制の強化が重要な課題となる。 県ホテル協会の平良朝敬会長は、「昨年の8月は台風が襲来するなど大変な時もあったが、順風満帆に来ている」と受け止めた。ホテル業界の人手不足について「人が足りず稼働率を上げられないので、単価を上げて補塡(ほてん)していく必要がある」と話した。 那覇市のロワジールホテル那覇は4月の稼働率が前年同月比9ポイント増の72.8%。しかし、19年同月比では8.3ポイント減と、いまだコロナ前の水準には届いていない。那覇市のノボテル沖縄那覇も、コロナ前と比較し、外国客の回復が半分ほどだという。坂本公敏総支配人は「人手不足が顕著になったが、工場などとは違い、サービス業はDX化が難しいところもある」と指摘した。
県内16の観光施設が加盟する美ら島観光施設協会によると、観光施設の入場者数は全国旅行支援などの需要喚起策があった22年と比較しても、23年は全ての月で100%を超える水準にある。しかし、外国客の戻りがないことや旅行形態の変化から、19年比では7~8割程度にとどまるという。内田晴長会長は「団体旅行としてバスで観光施設を回る旅行から、個人観光へシフトしている」と話した。
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