松山にとって念願だった勝利は、日本のスポーツ界にとっても快挙。さまざまな人物、側面から「夢のマスターズ 日本人初V!!」と題した連載で、この偉業に迫る。松山は、ゆかりある太平洋クラブ御殿場コース(静岡県御殿場市)の設計に深く関わっている。伝統ある三井住友VISA太平洋マスターズの舞台。松山は11年の大会で国内ツアー史上3人目となるアマチュア優勝を果たし、16年の大会では今も破られていない通算23アンダーの265で回っている。同コースの小林泰隆支配人(53)が松山との取り組みについて話した。
「16年のコースレコードが、18年の改修工事のきっかけの1つになりました。歴史ある日本のマスターズにふさわしい世界レベルの難しいコースにするため、世界的設計家リース・ジョーンズ氏設計のもと、松山選手にも監修していただきました」 11番のロングホールは、グリーン右側の木について、切る、切らないの議論になった。そこで松山から「切らない方がいい」と、あえて難しいコースにするよう意見をもらったという。小林支配人は「木の位置やグリーンの傾斜をしっかり覚えていて、現地ではない会議の場でも、選手目線で的確にアドバイスしていただいたことが印象的です」と言う。 松山は改修後の18年11月の大会に出場した。調子がいまひとつだったこともあり、6番ホールで苦戦。そこは松山のアドバイスでパー5のところを、大会ではパー4に設定。より難易度の高いコースに生まれ変わったという点では改修は成功だった。
大会後にも松山のアドバイスで、6番ホールのフェアウエーラインを変更したり、11番にバンカーを1つ増設したりと「世界水準に」と強いこだわりをみせたという。そんなメジャー制覇を意識した飽くなきコースづくりも、自らのマスターズ優勝への遠因となっていたのだろう。今回のマスターズはテレビにかじりついて観戦。「とにかく感動しました。三井住友VISA太平洋マスターズの開催コースにかかわる者として、大変うれしく思います」。今年11月、松山が凱旋(がいせん)出場することを熱望している。【倉橋徹也】
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