プロジェクションマッピング(PM)とは、物体の形状に合わせて画像を投影し、あたかもその物体の表面に模様や質感があるかのように見せる技術である。PMは没入感が高く、特殊なメガネなども不要なため、多くの人で体験を共有しやすいというメリットがある。
しかし従来のPMには、周囲が明るいと投影画像のコントラストが下がってしまうという課題があった。そのため、PMは暗い環境下で行われることが多かったが、それでは周囲が不自然に暗くなり、拡張現実感としては不完全な体験となっていた。周囲が暗い環境であれば、対象であるウサギは鮮明に画像投影されるが、周囲が暗いため拡張現実感のパフォーマンスは下がる この研究では、「Mixed Light Field」と呼ぶ新しいアプローチでこの課題を解決することを目指した。具体的には、PMを行うプロジェクターに加え、光線の制御が可能な環境光用の照明システムを用意する。この照明システムはPM対象には当たらないよう制御しつつ、周囲を自然に照らすのである。これにより、PM対象は高コントラストを保ちつつ、周囲は明るく自然な見た目を保つことができる。自然な環境光を再現するため、研究チームはプロジェクターの前方にインテグラルフォトグラフィベースの照明ユニットを構築した。これだけでは中央部と周辺部で光線密度にばらつきがあるため「Kaleidoscopic...
研究チームは、シミュレーションと実機を用いた実験により、提案手法の有効性を検証した。その結果、高コントラストのPMと自然な見た目の周囲環境を両立できることを示した。PM対象も周囲物体も同じ照明条件下にあるかのように自然な見た目が実現できたのである。Source and Image Credits: M. Yasui, R. Iwataki, M. Ishikawa and Y. Watanabe, “Projection Mapping with a Brightly Lit Surrounding Using a Mixed Light Field Approach,” in IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics, doi: 10.1109/TVCG.2024.3372132.
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