ファイナンシャル・ウェルビーイングは年収が高くなればなるほど、充足度が高まるように思いがちですが、本当にそうでしょうか。年収水準としては並外れて高くなくとも、「自分の生活は今の年収が持続するのであればうまくやりくりしていけそうだ」という感覚が持てているのであれば、その人は自分自身の家計を「お金に関する良い状態(コントロールできている状態)」にできていると解釈できます。
ミライ研では、年収水準と「ファイナンシャル・ウェルビーイング度※」の相関性を調査するべく、本年1月に全国の18歳~69歳の1万人にアンケート調査を実施しました。そこから得られた結果を分析し、「年収が同じでもお金についての充足度(ファイナンシャル・ウェルビーイング)が高い人はどんな人か?低い人とはどんな人か?」についての考察をまとめました。ファイナンシャル・ウェルビーイング度(以下FWB度)が高い人/低い人は、家計に対してそれぞれどんな意識や行動をしているのでしょうか。 ミライ研では、まず年収700万円以上、300万円~700万円、300万円未満の層に分けて、FWB度が高い人/低い人がどのような状況なのか分析しました。結果は【図表1】のとおり、年収が高い人のほうが、FWB度が高い人が多い結果となった一方で、年収が700万円以上でもFWB度が低い人が1割以上存在する結果となりました。*わからない、答えたくない除く。(出所)特に出所を示していない場合、ミライ研「ファイナンシャル...
例えば、年収700万円以上の年収帯を例にとると、【図表2】の右端列のとおり、FWB度の低い人は高い人に比べて、「これまでにそのような授業・教育を受けたことはない」との回答割合が多くなっています。特に、社会人(働き出してから)の金融教育受講経験の差が9.9ポイントと一番大きな差になっています。また、同じ700万円以上のなかでも、FWB度が低い人は、【図表3】のとおり、1か月の収支を把握していない割合が33.8%と、顕著に多くなっていることに加え、【図表4】のとおり、専門家などに相談をしながら将来設計をしている割合が相対的に低く、16.2%にとどまっています。
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