いま振り返れば、シャイアット/デイのオフィスはパンデミック以前の現代の無秩序な「ホットデスク」型オフィスを先取りしていた。しかしシャイアットは、社員を個別のデスクから引き離して実際に生産性と創造性を高める方法について誤解していた。それを実現するのは、アートでも、遊園地のコーヒーカップでも、派手なグラフィックデザインでもない。ずっとそこにいたい、と社員に思わせることがただ必要だったのだ。
ここ30年のオフィスビルやキャンパスは、この概念をさらに拡大したものだ。いっそう豪華になり写真映えも最高だが、その設計は業界の最先端を行く建築家たちによって「まとまりのあるコミュニティ」になるよう巧みに練られている。その目標は単純な生産性向上でなく、建築家のクライヴ・ウィルキンソンが2019年出版の作品集『The Theatre ofカリフォルニア州マウンテンビューに建つ50万平方フィート(約46,000㎡)のグーグル本社キャンパス「グーグルプレックス」を設計したウィルキンソンは、1995年にそのオフィスの構想をひらめいたのだという。労働者の習慣に関する昔の研究や調査結果を調べていたとき、オフィスワーカーが午前9時から午後5時の時間をどのように過ごしているかを調べた研究に出合った。
そして彼はそこからの解放を目指し、デスクから離れた場所で行なわれる仕事にデザインの焦点を移した。具体的には、かつては薄暗い廊下だった場所に階段状のベンチや奥まったエリアを設け、間隔を空けてデスク群を配置することでチーム間の動きを活発化させるなどした。動きのあるオフィス環境は自発的な出会いを増やし、それによって創造性が刺激されると考えたのだ。また、快適なソファや質のいいオットマンでファミリールームのような雰囲気を再現したプライベートエリアも設け、デスクがひしめく騒がしい部屋から離れて仕事に深く集中できるようにした。 グーグルプレックスの設計は「基本的なワークライフ・ニーズをすべて満たす」ことを目指していたとウィルキンソンは言う。当時の彼の考えでは、労働者を有意義で社会的な環境、加えて食事やウェルネスサービスなど多くの福利厚生でサポートすることは、真のコミュニティと持続的な創造性を育む手段だった。さらにそれは、世の中を変える製品をつくるために長時間働く社員たちに対して、企業が人道的かつ思いやりのある扱いをする姿でもあった。
やがて同僚たちは最も親しい友人になり、さらに時間が経つと唯一の友人になる。人生がより合理的に、より効率的に感じられていく。楽しくもある。大学の寮にいたときのような気分で、たまには仕事をサボって時間をつぶしたりもする。一方、図書館で何日も夜通し勉強したときのように仲間と一緒に仕事をすることもある。その両方が混ざり合うこともあるが、いずれにせよ有意義な時間だ。これが新たな組織人としての会社への貢献であり、カントリークラブがオフィスキャンパスに引っ越してきただけだ。
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