厚生労働省 が9日公表した3月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動を考慮した1人当たりの 実質賃金 は前年同月から2・5%減った。マイナスは24カ月連続となり、リーマン・ショックなどにより景気が低迷していた時期を超え、過去最長を更新した。名目賃金に相当する現金給与総額は27カ月連続のプラスだが、0・6%増の30万1193円にとどまった。物価高騰に賃金上昇が追い付かない状況が2年に及び、家計悪化に歯止めがかかっていない。
2024年の春闘では大企業を中心に賃上げが相次いだ一方、財務省の調査では中堅・中小企業での5%以上の賃上げは2割強と限定的だった。厚労省の担当者は「3月分には春闘の結果が反映されていない」と話す。早ければ4月分から反映され始める見通しで、実質賃金がプラスに転じるかどうかが焦点となる。 実質賃金の算出に用いる消費者物価指数は3・1%上昇し、名目賃金の伸び0・6%を大きく上回った。実質賃金のマイナスは、リーマン・ショック前後の07年9月~09年7月の23カ月を超え、比較可能な1991年以降で過去最長となった。 現金給与総額の内訳は、基本給を中心とした所定内給与が1・7%増の25万9531円、残業代などの所定外給与が1・5%減の1万9703円だった。主にボーナスが占める「特別に支払われた給与」は9・4%減の2万1959円で、名目賃金の押し下げ要因となった。
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