1956年(昭31)6月27日生まれ、愛媛県出身。松山商から74年ドラフト外で巨人入り。2年目に1軍入りを果たすと77年に8勝を挙げ、80年からは6年連続で2桁勝利をマークするなど巨人の主力投手として活躍した。81年に沢村賞。中日に移籍した89年には20勝を挙げ最多勝。その後オリックスでもプレー。最後は94年、巨人で現役引退した。通算504試合に登板し165勝128敗17セーブ、防御率3・20。引退後は阪神、ロッテ、オリックス、韓国ハンファで投手コーチを務めた。16年から日刊スポーツ評論家に復帰。ヤクルトのドラフト1位ルーキー奥川恭伸投手(19)は2回0/3を57球、被安打9の5失点で降板した。プロの洗礼を浴びる形となった。楽しみが大きかっただけに、やや残念な印象を受けてしまった。1軍デビューした奥川は、先発して2回0/3で5失点。2軍でもそれほど投げていなかっただけに、1軍登板といっても結果は度外視していいと思っていた。緊張もしただろう。しかし投球内容を差し引いても、物足りさを感じた。
2軍での登板はほとんど見られていないため、比較するのは昨年の甲子園での投球になる。制球力はよくなっているのだろうが、スピードもキレも、昨年の方が良かった。ケガもあって順調なステップを踏めなかったし、大事に育てようとしすぎて投げ込みやトレーニングを満足にできなかったせいもあるだろう。ただ、プロに入ってからの上積みは、今マウンドからは感じられなかった。 オリックスの宮城のデビュー戦も見たが、高校時代とは比べものにならないほど、レベルアップしている。順調にステップアップした選手と比べても仕方ないのかもしれないが、ケガで投げられなくてもやるべきことはたくさんある。コーチは無理をさせないようにするだろう。しかし投げる度にどこかが痛くなるのなら、思い切ってフォームを修正する必要だってある。
この試合だけで細かい技術面を指摘するつもりはない。「デビュー戦だから仕方ない」と周りの人は言うだろう。しかし成長できなければ、その責任を負うのは自分自身。それがプロの世界。私も高卒2年目でデビューし、1イニングで3失点。防御率は27・00。とにかく悔しかった。しかし、その悔しさがその後の“エネルギー”になった。この悔しい経験を生かし、大事なオフを過ごしてほしい。(日刊スポーツ評論家)
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