ヒバリ(雲雀 Alauda arvensis)はスズメ目ヒバリ科ヒバリ属に属し、日本国内では亜種ヒバリ(Alauda arvensis japonica)、オオヒバリ(大雲雀 Alauda arvensis pekinensis)、カラフトチュウヒバリ(樺太中雲雀 Alauda arvensis lonnbergi)の三亜種と、ヒバリ科のハマヒバリ(浜雲雀 Eremophila alpestris)、ヒメコウテンシ(姫告天子 Calandrella cinerea)の二種が確認されていますが、繁殖するのは亜種ヒバリ(以降、ヒバリと記述)のみで、他の四種は不定期渡来、または冬鳥としてのみ見られます。
草原や河原、畑などの開けた場所の上空、眩しい青空の一点に浮揚停止してさえずるこの独特の習性は「さえずり飛翔」と言い、ヒバリ独特の特技です。これは雄ヒバリの縄張りの主張と雌を呼ぶ目的のテリトリーソング兼コールソングで、春から夏の繁殖期、とりわけ五月から六月上旬の入梅前の時期にもっともよく聞くことができます。 地上の巣は、人間などの大型生物によるかく乱や捕食者の襲撃、大雨の浸水など、樹上よりも危険に思われますが、樹上にも蛇やネズミ、ネコ、カラスなどの捕食者はやってきますし、樹上の巣よりも営巣の労力が少ないことや、しばしば起きる強風による巣の落下や雛の落下というリスクは防げます。ヒバリの生息地は風通しのよい開けた場所なので、高所の樹上よりも草っぱらの中にさりげなく営巣するほうが有利なのかもしれません。親鳥は、地上の巣の在り処を捕食者に気づかれないよう、巣に戻る際には巣から離れた場所に意図的に降り立ち、そこからスタスタと草むらにまぎれて巣に戻ります。巣から飛び立つときにはいきなり舞い上がりますが、これは目立つ空から地上に降りるときは他の生物の目にさらされる確率が高いのに対し、飛び立つ瞬間を目撃されるということは偶然以外には確率的に低いためです。
筆者は、方言でヒバリを「ぴいちく」と呼ぶ地域もあることから、古くからの日本の聞きなし「ぴーちくぱーちく」が「ぴぱ」と縮まって「ヒバリ」に変化したという説に説得力を感じます。この他にも「告天子(こうてんし)」「叫天子」「天鸙(てんやく)」などの、仏教や儒教の説話由来らしき別名もあります。姿が愛らしく、さえずりの美しいヒバリは古くから日本人に愛され、万葉集でも大伴家持や安部沙弥麻呂に歌われており、また江戸時代の俳人小林一茶は次のような形而上的な名句を生み出しています。ヨーロッパでは麦畑に営巣するヒバリは田園で普通に見かけるもっとも親しみ深い野鳥で、ヒバリへの思い入れは日本人以上に強いものがありました。ギリシャの守護神アテナの化身とも、高い徳と智恵を備えた鳥ともたたえられ、その鳴き声は「切れ目なく繋がる銀の鎖の輪」とも、「歓喜に溢れた澄み切った美声」とも喩えられました。
近年、大規模集約農業が増大(EU全体の45%)するにつれ、農耕地の生態的多様性が失われ、多くの野鳥が姿を消し、大幅に数を減らすという問題が発生しました。ヒバリの減少も顕著で、過去40年の間に生息数は半数に。北方地のスウェーデンではより深刻で、ヒバリの数はかつての1/4にまで減少。そこでバードライフ・スウェーデン(Swedish Ornithological Society)やWWF(世界自然保護基金)の提言をもとに、スウェーデンの農家は「ヒバリの小区画」と呼ばれる農地区画を用意し、ヒバリが営巣・採餌しやすい環境を作ったところ、三年間で劇的な回復を見せました。ヨーロッパ人のヒバリへの強い愛がうかがえます。
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