「僕自身は今、すごい幸せなんですよ」。屈託のない笑みには、元プロ野球選手としての未練はみじんも感じられなかった。物流会社「ダイワコーポレーション」(本社・東京)に勤務する大須賀允(まこと)さん(44)は現役時代、巨人や広島でプレー。同社では横浜本牧営業所の所長兼横浜ブロック長として、100人以上の従業員を束ねる管理職として日々奮闘するサラリーマンだ。群馬・前橋工時代には、内野手として甲子園に2度出場。いずれもベスト4の好成績を収めた。185センチを超える大型内野手としてプロ野球のスカウトから注目を集めたが、東北福祉大へ進学。1年春から主力として活躍し、日米大学野球では日本代表にも選出された。平成13年のドラフト会議では、巨人からドラフト6巡目で指名され入団。「(指名されるかどうか)最後まで分からないところもあったので、ホッとした気持ちだった」と当時を振り返る。
だが、プロ野球のレベルは想像以上だった。「自分ができないことにトライするという感覚は新鮮だったが、毎日ストレスも感じていた」。巨人では16年にプロ初本塁打を放ったが、1軍には定着できず、18年に戦力外通告を受けて広島に移籍。しかし、広島でも1軍での出場は計16試合に終わり、20年には再び戦力外通告を受け、引退を決断した。「プロ野球に行ったことは周囲からすごいといわれることはあるけど、プロの世界に入れただけで、何も残していない。(プロ野球選手としての)キャリアとしては、恥ずかしいのが本音」。プロの世界では不完全燃焼の通算7年間だったが、大きな財産となったのは、ある主力選手からかけられた「言葉」だった。
当時巨人に在籍していた小久保裕紀選手(現ソフトバンク監督)が2軍で調整中だった際、小久保選手は「男の引き際」というタイトルの本を読んでいたという。プロ野球選手として実績を残している小久保選手が、なぜ現役中からそのような本を読むのか-。疑問を抱いた大須賀さんは、小久保選手に対して率直に理由を聞いた。現役引退後は物流専門の出版社での営業業務などを経て、24年にダイワコーポレーションに入社。同社ではさまざまな商品の検品や保管のほか、梱包・発送作業など業務内容は多岐にわたる。31年からは同社の横浜本牧営業所の所長に就任し、今年からは横浜エリアにある営業所を統括する横浜ブロック長も兼務。管理職として従業員のマネジメントにも力を注いでいる。プロ野球選手は現役引退後、野球関連に従事する仕事を希望する選手が大半だが、実際に希望がかなうのは一握り。セカンドキャリアへうまく移行できず、苦労を重ねる元選手も多い。
「プロ野球の世界は誰もが経験できることではないので、すごい強みにはなるが、(元選手という)プライドにこだわってしまうと失敗してしまう。プロ野球選手としての強みをどのように次の人生に生かすかは、本人の変換の仕方次第。知らないことでも、逃げずにいくのが一番です」と大須賀さん。44歳となった今が、人生の中で最も充実している時期なのかもしれない。(浅野英介)
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