台湾で31日に開幕する野球のU18(18歳以下)W杯に出場する日本代表メンバーが22日、発表された。守りと走力を重視する馬淵史郎監督(67)=高知・明徳義塾監督=の方針で、高校通算140本塁打の佐々木麟太郎(岩手・花巻東)や同62本の真鍋慧(けいた、広島・広陵)ら注目の強打者は選外となったが、今夏のU12W杯で日本代表を率いた井端弘和監督(48)は異議を唱える。
井端監督はこの日、台湾で今月まで行われたU12W杯の総括を都内で行い、4位に終わったが「世界のレベルでも十分、力負けしていなかった」と手応えを語った。旧来の「パワーでは世界と勝負にならない」という先入観を育成年代に押しつけることなく、投手には力でねじ伏せる球速を求め、野手にもバントのサインはほぼ出さず。本塁打数は優勝した米国の18本に次ぐ17本で、不利といわれ続けた力勝負でも互角に渡り合った。 「僕がイメージしたのは栗山さんがやったトップチーム」と井端監督。3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で大谷翔平(29)=米大リーグ・エンゼルス=をはじめとする侍たちが、投打にパワーを前面に押し出す野球で世界一を奪還した。
ところが、今夏甲子園に出場した選手たちを中心に選考された高校日本代表は、馬淵監督が「日本の勝機は投手を中心とした守りと走力を最大限生かした緻密な野球の実践にある」とスモールべースボール路線で編成。佐々木麟、真鍋、佐倉俠史朗(福岡・九州国際大付)ら注目の長距離打者は、守備位置が一塁に限られることなどもあって軒並み選外となった。 全世代で目先の勝利を追うよりも、トップチームが今後も国際大会で勝ち続けられるよう、今春のWBCを制したような戦い方で「ある程度、一本化できたらいいなと思う」というのが井端監督の考え。「今そういうふうに動いている感じです。それがU15でもU18でも。そのへんも勝負にいってほしい。子供たちもそのように変化してくる。やっぱU18で振り出しに戻るではないが、僕がやっているのと正反対になる。それから戻るのは大変です」と〝経験値リセット〟を懸念する。
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