ライバル「やす・きよ」漫才の存在感 共演では「着物が汗でビショビショになるほど熱演」 話の肖像画 落語家・桂文枝<14>

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《今や伝説ともいえる漫才コンビ、横山やすし・西川きよし(やす・きよ)。三枝(さんし)時代の文枝さんにとっては、同じ時期に人気を博した、大いに〝気になる存在〟…

「やす・きよ」がデビューしたのは、僕が入門した年(昭和41年)と同じなんですよ。年齢は僕とやすしさんが同学年、きよしさんは3つ下(21年生まれ)ですが、芸の年季で言えば、ラジオ番組の「漫才教室」などで少年漫才師として活躍していたやすしさんは「ずっと上」、きよしさんも漫才の前に吉本新喜劇などに出ていて「先輩」です。

やすしさんは、僕の高校(市岡商業)の先輩である直井(なおい)さんと「やすし・たかし」のコンビ名で短い期間、漫才をやっていて、そのときに、なんば花月(現なんばグランド花月)の楽屋に訪ねていって会ったことがあります。怖かったですよ(苦笑)。オールバックの髪、黒のエナメルの靴。何人もの女性を連れていましてね、とても同学年には見えなかった。2人は「やす・きよ」を組んでバーッと売れた。とにかく勢いがありました。爆発力がすごいんです、ドッカン、ドッカンとねぇ。テレビのお笑い番組には〝笑い屋さん〟がいるけど、劇場にくる、それも大阪のお客さんは厳しい。おカネを払った分は笑って帰ろうと思う。それを老若男女の別なく大爆笑を取って、帰すんですから。

僕はよく劇場(なんば花月など)で「やす・きよ」と一緒になったのですけど、たいていは向こうが「トリ」(※最後の出演者)で僕がその前とかね。何とか負けんように、と必死でネタを考えて、もう着物が汗でビショビショになるほど思い切り熱演するんですが、彼らはそんなもん簡単に踏み倒してゆく(苦笑)。ときどきはスケジュールの都合で出番が逆になるんですけど、もっとやりにくい。彼らが大爆笑をさらった後に、ぜんぶ持っていった後に出るんですから。ホンマ、もう雑草も生えていませんわ。 僕は、何とか彼らに追いつけ追い越せとがんばるんですが、なかなか…。ライバルというのもおこがましいから、「目標」かな。僕が、女の子にワーワー、キャーキャー言われるだけのタレントから脱皮して〝大人の芸人〟になりたいと、思ったのも「やす・きよ」の存在があったからですよ。スタイルが新しかったんです。それまでの〝しゃべくり漫才〟は動きが少なかった。大人気を誇った、中田ダイマル・ラケット師匠や、(夢路(ゆめじ))いとし・(喜味(きみ))こいし師匠もそう。(ぼやき漫才の)人生幸朗(じんせいこうろ)師匠とか、(今喜多代(きたよ)とコンビだった)島田洋之介師匠は、ほぼ〝直立〟でしたからねぇ。

「やす・きよ」はとにかく2人のコンビネーションがすごい。動きが激しいだけではありません。きよしさんは(漫才でいう役割の)「ボケ」なんですが、ときどき「ツッコミ」もやる。天才的なほど頭の回転が速いやすしさんを、うまくコントロールできた、きよしさんもまた天才なんですよ。今の漫才界には、たくさん売れっ子がいるけれど、あの「やす・きよ」の爆発力にはどんなコンビでもかなわないと、僕は思いますなぁ。(聞き手 喜多由浩)

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