(CNN) 聴覚の喪失以外にも、ベートーベンは生涯を通じて胃腸の病気に悩まされ、黄疸(おうだん)や重い肝臓病も患った。 ベートーベンは肝臓と腎臓の疾患により56歳で亡くなったとされる。しかしこれらの数多い健康問題の原因を把握するのは極めて困難な作業であり、ベートーベン自身もいつか医師の手でそれを解明してほしいと望んでいた。 国際的な研究者のチームは、10年近く前からベートーベンの願いを果たすべく本人の毛髪の束の研究に取り組んできた。 学術誌クリニカル・ケミストリーに6日に発表された研究結果によれば、高濃度の鉛に加え、ベートーベンの毛髪にはヒ素と水銀も含まれていることが最新の分析から明らかになった。 研究チームは異なる二つの方法を用いてベートーベンの毛髪の束2組から鉛の証拠を突き止めた。2組の毛髪は1820年後半から27年3月の間に切られたと推定されるものと、ベートーベン自身が26年4月にピアニストのアントン・ハルムに手渡したもの。...
ハーバード大学医学大学院の病理学教授で論文の筆頭著者、ネーダー・リファイ氏は「この水準なら鉛中毒と見なされる」「この水準で米国の緊急治療室に入れば、どこでも即入院だ。キレート療法を施されるだろう」と述べた。 鉛のレベルがベートーベンの毛髪に見られるような検出量にまで上昇すると、胃腸や腎臓に関連する疾患並びに聴力の低下と結びつくのが一般的だという。ただ単独の死因と考えられるほどには高くないと、論文著者らは述べている。 研究者らはより若い時期のベートーベンの毛髪サンプルを入手していないため、いつ鉛中毒が始まったのかは把握できていない。ただリファイ氏によれば、ベートーベンは生涯を通じて鉛中毒の兆候を経験している。そこには聴力の喪失、筋肉の痙攣(けいれん)、腎臓の異常などが含まれるという。 それにしてもベートーベンはどのようにしてこれほどの鉛、さらにはヒ素や水銀を体内に取り込むに至ったのだろうか。こうした物質は数十年にわたって食物や飲料の摂取を通して蓄積された公算が大きいと、リファイ氏は指摘する。...
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