次に研究チームは、一部のヒトの細胞を多能性幹細胞に変えた。多能性幹細胞とは、体内のあらゆる種類の細胞に変化する能力をもつ細胞のことである。この多能性幹細胞でふたつの遺伝子の発現を高めることで、細胞の死滅を防ぎ、ブタの細胞と融合する確率を高めたのだ。
ブタの胚にヒト幹細胞を注入することで、キメラ胚はつくられた。そしてキメラ胚をブタの子宮に移植する前に、通常ならニーズの異なるヒトの細胞とブタの細胞の両方が生き残るうえで役立つ特別な栄養素カクテルをキメラ胚に与えたのである。 胚が除去されたとき、腎臓はその発生段階に特有の構造、つまり老廃物を除去するために必要な細い管と、後に腎臓と膀胱をつなぐ管に変わる尿管芽を形成していた。しかし、妊娠は早期に中止されたことから、妊娠を継続した場合に腎臓が正常に発達を続けて移植に使用できる機能的な臓器になるかどうかは不明である。 この結果についてノフラーは興味深いものであるとしながらも、ヒト細胞を移植したときに生き残りやすくするために研究チームが編集したふたつの遺伝子「MYCN」と「BCL2」について懸念を示した。このふたつの遺伝子は過剰発現すると、がんを引き起こす可能性があるからだ。この遺伝子編集でつくられた臓器が人間に移植された場合にがんを引き起こす可能性があるかどうかを判断するには、広範な動物実験が必要になるとノフラーは考えている。いまのところ、科学者がブタの体内で完全なヒト臓器を培養するのはまだ先の話である。「人類がブタから分岐したのは約8,000万年前のことですから、ブタの胚でヒトの細胞を培養することは非常に大変なことで、現時点では非効率的な作業です」と、ミネソタ大学のギャリーは言う。
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