は7日、原材料の調達までを含むサプライチェーン(供給網)の管理を始めたと発表した。最上流にあたる原材料の調達まで生産履歴を追跡できるようにし、人権リスクや環境への対策を強める。欧米中心に関連の規制が強化される中、供給網の透明性を高めて商品を安定供給する。ファストリは、指定した産地から原料を調達し、トレーサビリティー(生産履歴の追跡)を確保する独自の仕組みを構築した。取引先の紡績工場が持つ原材料の情報を出してもらい、ファストリの情報システム基盤に連携させて、随時、パソコンなどで流れを追えるようにした。ファストリは2021年に100人規模のチームを立ち上げ、供給網の調査を始めた。23年8月末までに1次取引先の縫製工場、2次の生地工場、3次の紡績工場までを定期的に監査し、人権や環境に関するリスクを点検する体制を順次整備した。従来は、3次取引先の紡績工場の工程までが対象だったが、今回最上流となる原材料の履歴まで踏み込んだ。
23年の春夏向けに発売したユニクロの全商品については、原材料の調達までの流れを1品ごとに把握した。生産管理を担当する指吸雅弘グループ執行役員は説明会で「供給網の最上流まで自社で管理することで、環境負荷を低減して人権リスクも早期に検知する持続可能な調達が可能になる」と強調した。サプライチェーンの管理強化は、商品の安定供給につながる。ファストリは自社が求める情報開示や品質管理に対応できる取引先と組むようにし、既存の取引先を集約する方針だ。縫製工場と生地工場は現時点で約560拠点と、海外アパレル大手の半数以下となった。今後は、紡績工場も現状の3分の1程度に絞り込み、管理をよりしやすくする。供給網の一元管理は各国で強まる規制に対応する狙いもある。欧州連合(EU)は供給網上の人権リスクを特定することや定期的な調査を求めている。日本では経済産業省が人権リスクを適切に把握する「人権デューデリジェンス(DD)」のための手引書を4月に公表し、企業による監査を後押しし始めた。
米国は、中国・新疆ウイグル自治区での強制労働を巡る問題に関連して、強制労働の疑いのある製品の輸入を規制している。ファストリは第三者認証で強制労働と関連がないと確認された綿を使っていると説明しているが、21年に米側に「証明が不十分」とされ、シャツの輸入が差し止められたこともある。ファストリは国内では先行するが、世界のアパレル企業と比べると課題もある。英の非政府組織(NGO)のファッション・レボリューションが世界アパレル250ブランド・企業を対象に供給網での労働環境などの透明性について実施した調査によると、ユニクロと兄弟ブランドの「ジーユー(GU)」の総合評価は25位だった。上位にはイタリア「OVS」(1位)や、スウェーデン「H&M(ヘネス・アンド・マウリッツ)」(6位)、米「ザ・ノース・フェイス」(8位)など欧米ブランドが並ぶ。アパレル産業に詳しいボストン・コンサルティング・グループの内藤純氏は「欧州企業は環境・人権対応を競争戦略の一つに捉え、製品の設計やバリューチェーンの再構築にいち早く取り組んでいる。日本企業も対応を急がなければ事業展開が難しくなる」と指摘する。
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