就職活動を巡り近年、企業と就活生の間でトラブルが頻発しています。「セクハラ」「オワハラ(就活終われハラスメント)」など企業側が是正しなければいけないケースもあれば、就活生側の不注意でトラブルが起きることもあります。2024年春に向けた採用活動、就職活動の準備が進む中、トラブルを避けるための注意点を札幌弁護士会の上木健司弁護士に聞きます。(聞き手・清水博之)企業の採用活動に伴うものでは、面接などでの就活生のプライバシーを侵害したり、従業員が就活生をしつこく食事に誘うなどのセクハラが目立ちます。内定を出した企業が就活生の就活打ち切りを迫るオワハラ、また逆に内定をもらった就活生が入社直前になって内定を辞退する問題もあります。――企業側は採用活動にあたり、将来にわたって組織で活躍してくれる人材を確保するため、個人情報を含め、できるだけ就活生の情報を求めようとしがちです。どこからがプライバシー侵害に当たるのですか。
日本の労働法制は解雇に厳しく、企業側は一度採用してしまうとなかなか辞めさせることができません。このため慎重になり、応募した就活生のさまざまな属性を知りたくなるのは分かります。しかし選考の基準はあくまで応募者の適性・能力にすべきであり、それらと直接関係しないことを聞くのはプライバシー侵害に当たります。例えば本人の出生地や家族の職業・地位・学歴、生活環境、資産などは就活生の能力と関係ありません。また支持政党や宗教、尊敬する人など思想信条に関わることも無理に聞いてはいけません。他の会話の中で就活生側から出てきた内容ならよいのですが、特定の宗教を非難するような聞き方はトラブルになる恐れがあります。また身元調査や健康診断も本人の了解なしにすべきではありません。厚生労働省は指針として「公正な採用選考の基本」をホームページに掲示しています。企業は応募者にも基本的人権があることを意識し、尊重しなければなりません。選考はあくまでも本人の適性・能力に基づいて行う必要があるのです。質問に答えないと採用にマイナスになる―と不安になるかもしれませんが、答える必要がないことは答えないという意思を相手に伝えましょう
企業側の内定取り消しは簡単にはできません。できるのは、企業側が内定当時に知ることができなかった、または知ることが期待できないような事案で、内定取り消しが客観的な合理性と社会的相当性を有する場合のみです。適性・能力について就活生が虚偽の内容を述べることなどがこれに当たります。例えば職種によりますが、車の運転が必要な職種で運転免許を有していると答えたにもかかわらず、実は運転免許がないことが分かれば、内定の取り消しが認められるでしょう。ただし基本は取り消せないと考えた方がよいですね。 一方、内定辞退は民法で就労開始日の2週間前までに企業側に伝えればよいことになっています。しかし企業も年間計画を立てて採用を進めているので、入社しないと決めたなら早く伝えるべきです。入社直前の辞退では企業が人員の補充ができないばかりか、他の就活生の入社機会を奪いかねません。
道内大学の就職担当者によると、企業が内定を出した学生と連絡が取れなくなり、大学に問い合わせしてくるケースが増えているそうです。企業の担当者は「本当にウチに入ってくれるのか分からない」と困り果てているといいます。社会人になるのですから、他の人に迷惑をかけないという意識をきちんともってほしいと思います。
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