北朝鮮による日本人拉致問題に関し、日朝首脳の最後の直接交渉から22日で20年が経過する。この間、日本政府は対話の機会を断続的に探ってきたが目立った進展はない。2022年のウクライナ侵略後にロシアと北朝鮮が接近するなど、国際社会の分断の深まりが拉致問題の解決への道筋をより複雑にする。
小泉純一郎首相(当時)は04年5月22日に北朝鮮を訪問し、金正日(キム・ジョンイル)総書記と2度目の日朝首脳会談をした。拉致被害者家族5人の帰国と安否不明者の調査再開を申し合わせた。02年の小泉氏の初訪朝、拉致被害者5人の帰国に続く動きだった。04年当時、北朝鮮が日本に接近してきたのは、イラク、イランとともに北朝鮮を「悪の枢軸」と批判したブッシュ米大統領(第43代)との交渉の糸口を探していたからだ。小泉氏はブッシュ氏と友好関係を築いていた。 現在、バイデン米大統領はウクライナと中東、中国と「3正面」の対応を迫られており、北朝鮮への関心は決して高くない。米国の関心が遠のけば日本に揺さぶりを掛ける。北朝鮮が見据える先はいつの時代も日本ではなく米国だ。金正恩氏の妹で朝鮮労働党副部長の金与正(キム・ヨジョン)氏は2月以降、連続して日朝首脳会談に関する談話を出した。「重要なのは日本の政治決断だ」と指摘し、拉致を障害にしないのであれば岸田首相の平壌訪問もあり得ると断言した。日朝トップ会談の実現を熱望する岸田政権にメッセージを出し続けることで、北朝鮮の話題を米国に働きかけさせる意図が透ける。韓国では尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が北朝鮮に強硬姿勢を貫き、文在寅(ムン・ジェイン)前政権が米朝首脳会談の実現を後押ししたときのようなムードはない。22年2月のウクライナ侵略以降、日米欧の民主主義陣営と中国やロシアの覇権主義陣営が対峙する構図が生まれた。北朝鮮は中国との関係強化に加え、ロシアに武器支援などで接近しているとみられ、協力深化を世界に印象づけている。
「ロシアの拒否権行使に深く感謝する。(北朝鮮への)制裁決議は米国の凶悪な敵対政策の産物だ」。北朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使は今年4月の国連総会での会合で、ロシアが制裁決議の履行状況を調べる専門家パネルの任期延長に拒否権を行使したことに謝意を示した。専門家パネルは4月末で活動を停止した。ロシアは北朝鮮の核開発を巡って03〜07年に断続的に開催された「6カ国協議」のメンバーだった。これまで米国や中国、韓国と比べると日本と同様に存在感は低かった。北朝鮮がいま日朝首脳会談を開いて拉致問題のカードを切る必要がないと考えているふしがある。適度に日本を揺さぶりつつ米国との交渉の余地を探る1つの手段としておけばいいからだ。
林芳正官房長官が3月25日に拉致問題は解決済みとする北朝鮮の立場を「受け入れられない」と述べたこと関し「日本は新たな朝日関係の第一歩を踏み出す勇気が全くない」と批判した。「朝日首脳会談は我々の関心事ではない」とも強調した。そもそも日本の経済力の低下が拉致問題の進展を阻む要素にもなっている。北朝鮮がロシアへの武器輸出で外貨を稼ぐ今、かつてのように経済支援などを拉致交渉の材料にすること自体が難しい。
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