魔法による攻撃システムの存在も、ファンタジックな世界観が特徴である本作の楽しさをさらに引き立てている。魔法は壺(ポーション)をストックした状態であればいつでも発動が可能で、画面内にいるすべての敵にダメージを与えることができる。
各ステージで特定の位置、またはステージクリア後のキャンプのシーンで出現するシーフを攻撃するとドロップする、壺(ポーション)を集めることで魔法のレベル(威力)がアップする。特に、ティリスの最高レベルの魔法は、物理攻撃とは比較にならないほどの大ダメージを敵に与えるので、こちらも実に快感だ。ポーションは、シーフを攻撃して奪い取ることができるが、すばしっこいので攻撃を当てるのが意外と難しい。ちなみに緑のシーフは、攻撃すると肉(体力回復アイテム)をドロップするビジュアルの美しさとともに、筆者が本作を最初に遊んだときに感激したのが、乗り物として利用できるモンスターの存在だ。モンスターは、その背中に乗った敵キャラに攻撃を加え、敵を叩き落すと乗れるようになる。モンスターは、長い尻尾を振り回して攻撃するチキンレッグと、口から炎を吐くブルー、レッドドラゴンの3種類が登場する。
本作よりも先に登場した「フロントライン」や「怒(IKARI)」などのアクションゲームは、たまに出現する戦車に主人公の兵士が乗り込むと強力な大砲が撃てる楽しさがあった。本作のモンスターも、これらのタイトルに登場する戦車と同じ役割を果たしているが、機械ではなく生き物の背中に乗って攻撃ができる新鮮な体験ができたことも、筆者は今なお強烈に印象に残っている。特にブルードラゴンに乗った状態で、シーフに炎を浴びせて壺をドロップさせたときの快感は格別だった(不謹慎かもしれないが……)。攻撃の多彩さが本作の特徴と書いたが「敵もさるもの」で、敵のザコキャラも主人公たちと同様に切る、突く、投げるなどの連続攻撃をしばしば繰り出す特徴もある。加えて、主人公たちの背後や挟み撃ちを狙おうとする動き方も実にいやらしく、だからと言って敵から遠い位置に逃げると、ダッシュ攻撃をしばしば仕掛けてくるので、ザコだからとナメて掛かると痛い目に遭ってしまうのも本作ならではの面白さだ。
プレイ中に得点が表示されず、ゲームオーバーまたは全面クリア後に表示される偏差値でプレイヤーの実力を判定するシステムも実にユニークだ。偏差値を導入したタイトルは、ベルトスクロールアクションに限らず、今も昔も非常に珍しい。筆者は偏差値をあまり気にせずクリア重視でプレイしていたが、敵を倒した、あるいは攻撃をヒットさせた数以外の方法で、どうすれば評価、すなわち偏差値がアップするのかを研究しながらプレイする楽しさも、本作独特のものであると言えるだろう。人気を博した本作は、現在までに何度も家庭用に移植されており、最近では2020年にセガトイズが発売した復刻ゲーム機「アストロシティミニ」に収録されている。また、2019年にセガが発売した「メガドライブミニ」には、メガドライブ版の本作が収録されており、今でも手軽に遊ぶことができる。メガドライブミニ版には、アーケード版には存在しなかった対戦プレイモードも用意されているので、こちらもぜひプレイしていただきたい。
つい先日、本シリーズの最新作の開発が明らかになり、さらにはアメリカのCBSスタジオがプロデュースするアニメが制作されるとの驚きのニュースが流れた。このタイミングで、改めて本作をプレイするのも一興だろう。
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