<通信での顧客囲い込みも可能>携帯電話ビジネスは、総務省による10月以降の新ルールや、来春にも見込まれる楽天の携帯事業への本格参入で「ゲームのルール」が変わってきている。ソフトバンク以外にドコモやKDDIも、コンテンツや金融・決済、ECなどのサービスを提供している。携帯電話利用者の利便性を高めたり、各サービスの顧客基盤を携帯電話利用者の獲得につなげる狙いがあるが、後発分野なだけに成長の途上といえる。一方、楽天は、もともとECビジネスを基盤としており、すでに大規模な経済圏を持っている。MMD総研の調べによると、集客に貢献すると見られるポイントサービスの面で、楽天スーパーポイントは通信大手6サービス利用者が最もよく使うサービスの1位。金融市場では「楽天がポイント優遇などグループの経済圏と関連付けて集客を進めるのではないか」(証券アナリスト)と見られている。
さらに楽天の三木谷浩史会長兼社長は「他社が真似できない料金」を打ち出すと述べ、価格競争を仕掛ける構えだ。ネットワークの構築で低コストな仮想化技術を用いており、3キャリアに対し、価格競争での勝算を見込む。 ソフトバンクグループにとって、携帯電話事業の2019年3月期の営業利益は7250億円。ファンド事業の浮き沈みが激しい中にあって、安定的な資金の供給源として重要な存在となっている。S&Pグローバル・レーティング・ジャパンの西川弘之氏は「キャッシュフローを生む投資先である携帯子会社のキャッシュ創出力が下がるとすれば、グループの信用力にとっていいことではない」と指摘している。
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