3月19日、日銀が正常化へ踏み出したことで、金利は徐々にながら上昇していくことが見込まれ、日々の暮らしにも影響が出そうだ。写真は都内の集合住宅。2021年6月撮影(2024ねn ロイター/Fabrizio Bensch)[東京 19日 ロイター] -...
日銀はマイナス金利政策を解除し、長短金利操作(イールドカーブコントロール)を撤廃したものの、当面は緩和的な環境を維持するとしている。物価の上昇具合にもよるが、政策金利をゼロ%近辺に当面据え置くというのが市場関係者のコンセンサスで、短プラがどんどん上がっていくことは想定されていない。 全国銀行協会の加藤勝彦会長(みずほ銀行頭取)は14日の会見で、金利が急上昇するわけではなく「金利負担がただちに大きくなるわけではない」と語った。政府関係者も「マイナス金利解除と0.25%や0.5%に上げていくというところはちょっと違う話だと思う」と話す。住宅ローン比較サービス「モゲチェック」を運営するMFS(東京都千代田区)の塩澤崇最高執行責任者(COO)は「今後も金利が上がり続ける懸念から前もって繰り上げ返済をする人たちが出てくる可能性がある」と指摘。その場合、投資や消費に回るはずの資金が借金返済に使われることになるため、「経済にマイナスに働く恐れもある」と語る。
S&Pは「仮に日本の政策金利が0.5%まで引き上げられ、短期プライムレートが現水準から40ベーシスポイント上昇した場合、変動金利型住宅ローンの月々の支払い額は現水準の1.05倍程度に増える」と試算している。 住宅金融支援機構によると、2022年度末の住宅ローン残高は215兆9426億円。金融機関の関係者は、住宅ローンについての問い合わせは増加していると説明する。今のところ、繰り上げ返済や固定金利への借り換えなど、具体的な動きはほとんど出ていないという。総務省によると、65歳以上の持ち家比率は80%あり「フロー収入が年金に限られる高齢者は、持ち家をどう活用するか考えている」(住宅金融支援機構調査グループ)。これまでのように先祖代々の家を継ぐという習慣も薄れてきているほか、子ども世代に迷惑を掛けずに老後を過ごしたいという高齢者が増えているという。住宅金融支援機構によると、使途が住宅購入などに限られているリバースモーゲージ残高は22年度末で1803億円(前年度比6.4%増)となった。13年度の458億円から約4倍に増加している。生活資金など幅広く使うことができる商品は、統計がなく、市場規模は分かっていない。リバースモーゲージの保証などを行っているフィナンシャルドゥは、2兆円以上の市場規模があるとみている。りそな銀行ライフデザインサポート部グループリーダーの熊仁氏は「予想よりニーズは高い」と話す。
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