カスタムチップの設計は、人工知能(AI)や自律走行車、5G通信などの新興分野において急速にその重要性を増している。汎用チップではなく、こうした特化型のアーキテクチャーがイノヴェイションの行方を左右することになるわけだ。
「チップを単なる部品表のアイテムのひとつと考えていた企業は、いまでは半導体の重要性に気づいています」と、調査会社ガートナーのヴァイスプレジデントで電子機器関連の調査を担当しているガウラフ・グプタは言う。「いまでは誰もが半導体の調達に焦点を当てて戦略を立てる必要があるのです」チップ不足は、米中間の緊張によってさらに悪化している。米国はトランプ政権時代、中国政府との密接な関係がある中国企業や、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒に対する人権侵害を後押ししたとされる中国企業に対し、最新のスマートフォンやクラウドサーヴァーを動かす最先端のコンピューターチップの販売を禁止したのだ。 高度なチップの生産が重視されるようになり、これまであまり知られていなかった企業が地政学的な問題に巻き込まれている。例えばオランダのASMLは、半導体チップに極小の回路をエッチングするために必要な1億5,000万ドル(約173億円)程度の極端紫外線リソグラフィ装置を製造する世界唯一のメーカーだ。米国はASMLによる中国への輸出も禁止しており、中国国内のチップ産業を実質的に妨害している。現時点で最先端の部品を製造できる企業は、世界でたった3社しかない。台湾の台湾積体電路製造(TSMC)、韓国のサムスン、そして米国のインテルだ。ところが、米国半導体工業会(SIA)によると、インテルはTSMCとサムスンに後れをとっており、世界の半導体生産における米国のシェアは、1990年の37%から今年は推定12%にまで落ち込んでいるという。
こうしたなか、カスタムチップはチップの性能を加速させる手段となる。例えばアップルは、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC用のチップを自社設計しており、これは自社製品の性能をより自由にコントロールできるようにする戦略の一環だ。
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