ペットの犬や猫などをモデルに一点物のアート作品を仕上げる事業を、山形市の会社EnоGG(えのぐ)が始めた。制作を担うのは芸術大を卒業し、同社に登録する若手画家。高橋駿斗社長(26)は「かけがえのない思い出を残す方法として、多くの人に知ってほしい」とPRする。(共同通信=飯田壮一郎)
高橋さんは東北芸術工科大(山形市)に在学中の2019年に起業した。きっかけは友人の「絵一本では生活していけない」との言葉。卒業生が芸術と直接関係のない業種に就職することも多い現状に疑問を抱き「培った芸術の知識や技術を仕事に生かせる環境をつくりたい」と考えた。 当初手がけたのは絵画のレンタル。その中で複数の客から「ペットの姿をアートで表現できないか」と相談を受けていた。新型コロナウイルス禍で、在宅時間を充実させる手段としてアートへの関心の高まりも感じ、昨年10月にクラウドファンディングで資金を募り、12月に事業を始めた。現在、同社には20代前半の画家13人が登録。制作に専念できる環境を用意し、若手芸術家の支援につなげる狙いだ。絵画の他、彫刻など別形態での制作も視野に入れる。
山形市の会社役員高野恭行さん(53)は黒い柴犬の「こげまる」をモデルに制作を依頼した。完成したのは青、茶、赤の抽象的なイメージと、駆けるこげまるが組み合わさった作品。高野さんは仕上がりに「元気な姿や躍動感が表現されている」と喜ぶ。絵は自宅に飾り「アートを身近に感じるようになった」と話す。 同社はこれまで15点の絵画を制作。交流サイト(SNS)を通して知った40〜50代女性からの依頼が多く、リピーターもいる。死んだペットをモデルに制作してほしいとの相談もある。「写真を見るのはつらいという人でも、アート作品なら、ぬくもりや愛くるしい姿を日常に溶け込む形で表現できる」と高橋さん。
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