0―1の前半31分過ぎのことだった。相手選手同士の接触でプレーが数分間中断した時、ピッチ中央ではFC東京の選手たちが輪になっていた。GK野沢も含めた11人全員で話し合ったのは横浜FMのインサイドハーフの南泰熈(ナム・テヒ)を誰がマークするかだった。
試合開始から木本とエンリケトレビザンの2センターバックで1トップのアンデルソンロペスに対応していたが、1枚余ってしまうことで「時間を作られていた」(DF木本)「うまく捕まえきれていなかった」(MF松木)と、センターバックとダブルボランチの間でボールを受ける南泰熈に自由を与えてしまい、前半25分にはミドルシュートで先制点を決められていた。 前半のうちに修正が必要―。選手個々の共通認識があったことで、プレーが止まった時に冒頭の話し合いが発生。主将のMF松木は「後ろの状況を聞いて、前の状況も話した上で、じゃあマンツーマンでいこうと全員で決めた感じです。前に押しだそうという話し合いをしました」。その結果、木本が前に出て南泰熈を、エンリケトレビザンがアンデルソンロペスをそれぞれマンツーマンで対応することになった。
センターバックの木本が高い位置を取ることで必然的に前への圧力が高まり、セカンドボールは相手陣地で回収することに成功。後半10分にDF長友がゴール前まで入り、得点を決めたのも前半の修正があったからだろう。今季で3年目のMF松木も「そこの話し合いはよかった。こういう修正力は今までになかった(FC)東京の感じだと思いますし、やっぱりそれを言うだけではなく、体現できるチームも作れているんじゃないかなと思う」と手応えを口にしていた。 欲を言えば、後半開始直後の攻勢時に、勝ち越しまで持っていきたかったが、この日チームが見せた修正力は大きな収穫。松木が「内容も全然悪くないですし、今勝てていないから下を向くではなく、あとは勝ち切って自信をさらにつけていくだけだと思う。そこはチームとしてプラスに捉えていきたい」と話すのもうなずける。選手層も厚く、チーム内のレギュラー争いが激しいのもプラス材料。確かな手応えを積み重ねていくことで、上位は見えてくるはずだ。(FC東京担当・後藤亮太)
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